沖電が送配電本部新設 新電力対応、中立性を確保


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 電力の小売り全面自由化が1日から始まる。大手電力会社の送電網を使って新電力会社が一般家庭や事業所向けに電気を販売できるようになることを踏まえ、沖縄電力(浦添市、大嶺満社長)は31日、「送配電本部」の新設など1日付の組織改正を発表した。送配電ネットワーク部門を発電部門や小売り部門と切り離すことで、新たな小売り参入事業者から沖電が請け負う託送情報の取り扱いを厳格化するなど、送配電業務の中立性を確保する。

 電力自由化では電気事業者の「ライセンス制」も導入される。電気事業は届け出制の「発電事業者」、許可制の「送配電事業者」、登録制の「小売り事業者」に大別される。
 小売り事業に新規参入する新電力などは、既存の送電網を持つ大手電力会社に「託送料金」を払って家庭や店舗に電気を届ける。このため託送を請け負っている新電力の顧客情報が、大手電力会社の発電や小売り部門に流用されない管理体制など、送配電部門の中立性が求められている。
 沖縄電力ではこれまで、発電所から変電所までの送電・変圧設備を担当する「電力流通部」が、発電部門とともに「電力本部」を構成していた。家庭や事業所までの配電設備を担当する「配電部」は、小売り部門も担う「お客さま本部」の中に位置付けてきた。これを4月から「送配電本部」を設置し、配電部と電力流通部を移管。送配電事業の独立性を明確にする。
 託送の専用窓口となる「託送サービスセンター」は「ネットワークサービスセンター」に名称を変更し、送配電本部の直轄になる。
 これまでの電力本部は「発電本部」に名称変更し、発電部門に特化する。お客さま本部の配下にあった沖縄本島内の各支店は、顧客の受付窓口として独立した組織に移行する。沖縄電力は「送配電業務を担う部門が発電、小売り部門と分離され、これまで以上に送配電部門の中立性が確保できる体制へと移行する」と組織改正の狙いを説明した。
 小売り全面自由化が始まるが、現時点で県内では家庭向けの新料金プランはゼロだ。一方で企業向けでは、伊藤忠商事(東京)がうるま市にある電源開発の石炭火力発電所から電気を調達し、ホテル経営のかりゆしグループやスーパー事業も持つ金秀グループなどに販売を予定している。