沖縄初、家庭向け新電力参入 CO2協議会、6月に太陽光で


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦

 県内の家庭や集合住宅などの屋上を借りて太陽光発電設備の無償設置を進める一般社団法人沖縄CO2削減推進協議会(那覇市)が、6月30日から家庭向けに電力の小売り事業を始めることが4日、分かった。当面は本島の17カ所に設置する自前の太陽光発電設備を通じて、沖縄電力よりも割安な電力を供給する。1日から始まった電力の小売り全面自由化後、新電力が県内の家庭向けに電力を販売するのは初めて。

 CO2削減推進協議会は3月24日に、経済産業省に新電力に関する電源調達方法などを示した手続きを申請した。早ければ月内にも小売り電気事業者としての登録が完了し、電力の小売り事業が始められる。
 協議会が本島内に所有する太陽光発電設備の発電能力は179キロワット。一般家庭の年間電力使用量を3千キロワット時と想定した場合、71世帯分の電力を賄える。
 1キロワット時当たりの販売単価は25円47銭で、協議会によると沖電の販売単価より86銭安い。年間の電気代に換算すると約2500円安くなる計算だ。
 協議会は今後、自家発電以外に企業や一般家庭が所有する太陽光発電設備の電力を沖縄電力よりも高く買い取り、顧客を増やしていく考え。協議会の瑞慶覧長臣代表理事は「協議会が供給する電力は全て化石燃料に頼らないグリーン電力だ。今後、数百、数千、数万世帯にグリーンエネルギーを供給することでCO2を削減し、社会に貢献したい」と話した。
 協議会が供給する電力は全て太陽光のため、天候などの自然条件によって左右されやすい面もあるが、電力の安定供給は「電気最終保障約款」により、これまでと同様に沖縄電力が供給義務を負っており、家庭が新電力に契約先を変更しても停電する恐れはない。電気料金の支払先が変わるだけで、切り替えに伴う新たな負担も発生しない。(吉田健一)