嘉手納基地で流出多発 ミッチェル氏、記録入手


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 米空軍嘉手納基地で1998~2015年に合計4万リットルのジェット燃料、1万3千リットルの軽油、48万リットルの汚水の流出事故が発生していたことが分かった。基地汚染問題に詳しいジャーナリストのジョン・ミッチェル氏が情報公開で得た資料や担当者の電子メール記録を基に分析し、10日付の英字紙ジャパン・タイムズで報じた。多くの事例で汚染物質の流出事故が日本側に伝えられなかったり、遅れて伝えられたりし、汚染物質が大量に基地外の河川に流出した事例もあった。

 入手した資料は04~07年分の記録は紛失しているとし不明だが、それ以外の期間に起きた環境汚染は415件に上り、うち245件は10年以降に発生していることから、近年増加傾向にあることもうかがえる。嘉手納基地で汚染事故があった有害物質はヒ素、鉛、PCB、アスベスト、ダイオキシンなど。
 ミッチェル氏の調べによると、10~14年には206件の流出事故があったが、日本の当局に報告されたのは23件にとどまった。14年は59件と最多だったが、日本に報告したのは2件だけだった。同氏は紛失している空白期間も加味すると「実際はより多くの事故があったことは明白だ」と指摘している。
 11年8月には760リットルの軽油が那覇市など県内7市町村が水源としている比謝川に流出した。
 また01~15年に、合計2万3千リットルの泡状の消火剤が流出したことも確認された。この消火剤にはがんや生殖障害を引き起こし、国内で原則使用が禁止されている有機フッ素化合物(PFOS)が含まれていた可能性があるという。
 県企業局はことし1月、嘉手納基地の排水が流れる地域で高い濃度のPFOSが検出されたと発表し、同基地から比謝川に流出した可能性が高いと指摘していた。
 13年6月にはマンホールからあふれ出た20万8千リットルの汚水が比謝川に流出した。嘉手納基地は発生から27時間後に地元に伝えた。その後、同件に関する米軍担当者の電子メールでは「(この流出事故で)あまり多くのメディアの取材を受けていない。いいニュースだ」などと記されていた。