帝国書院教科書、沖縄予算なお誤認 文科省が訂正承認


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 【東京】2017年度から使用される高校教科書の検定結果を巡り、帝国書院「新現代社会」のコラムに沖縄経済について事実誤認の記述があった問題で、文部科学省は11日付で帝国書院からの訂正申請を承認した。同社は県経済が「基地に依存している度合いはきわめて高い」という記述を削除。政府が基地と引き換えに「ばくだいな振興資金」を支出しているとの記述も削除した。代わって米軍施設が沖縄に集中していることなどを理由に「毎年約3000億円の振興資金を沖縄県に支出している」と記述した。専門家は「基地の対価として沖縄だけが3000億円を特別に受け取っている印象を全国に与えている」と批判している。

 「沖縄振興予算」は内閣府沖縄担当部局が各省庁の沖縄関連予算を一括計上し、財務省に要求しており、他府県が各省庁と直接予算折衝する仕組みとは異なる。沖縄振興予算に詳しい沖大・沖国大特別研究員の宮田裕氏は「表現は変わっているが、沖縄振興に対する誤った認識はそのままだ」などと指摘した。
 訂正前のコラムで、政府が「事実上は基地の存続とひきかえに、ばくだいな振興資金を沖縄県に支出」との表現があった。訂正後は沖縄の特殊事情として(1)米軍統治が続いていた(2)広大な海域に多数の離島が点在している(3)亜熱帯地域にある(4)米軍軍専用施設が集中している―ことなどを挙げた。その上で「さまざまな特殊事情を考慮して、毎年3000億円の振興資金を支出」に改めた。
 文科省によると、帝国書院から4日に訂正申請を受け取り、11日付で文科相が7件の訂正を承認。帝国書院側は訂正理由を「学習上の支障(沖縄の現状)」などとしていた。文科省は取材に対して訂正申請を承認した理由について「(訂正された文の)記述が誤りでないことが確認できた」などと説明した。
 帝国書院は取材に対して、訂正した理由を「誤解のある表現は改めなければならない。言葉足らずのところは改め理解しやすい表現にした」などと説明した。