「保育園渋滞」どう対応? 駐車場代20万円も


社会
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子どもの送迎で狭い路地が渋滞しないように近隣住民に配慮し、夕方の時間帯は職員を配置して誘導する保育園=15日午後、本島南部

 保育園から響く子どもの声や、送迎時の交通渋滞に対する近隣住民の苦情や懸念が全国的な課題になっている。住民の協力を得て、子育て環境をどう整備するか多くの園が頭を抱える。県内では騒音への苦情に対応し、楽器演奏の時間帯を午後に変更するなど、園は地域住民に配慮した運営を心掛ける。交通誘導員を配置したり、住民との交流を図ったりするなど、良好な関係づくりに積極的に取り組んでいるところもある。

 那覇市内の保育園では、隣接するコインパーキングと契約し、送迎時の保護者の駐車場にしている。「路上駐車が多い」「危ない」などの苦情がきっかけだった。園長は「駐車場を借りることで改善できればいいと思った」と説明する。
 駐車場代は1カ月当たり20万円とかさむ。園長は「負担は大きい。ただ、子どもの安全、地域との友好のために借り続けたい」と話す。勤労感謝の日に合わせて関係者に感謝状を渡したり、ムーチーを配ったりするなど、地域との交流も欠かさない。園長は「周囲に開かれた園、地域から見守られる園でありたい」と話した。
 浦添市内の別の保育園は約10年前から夕方のお迎えの時間帯に、渋滞緩和のために、交通誘導員として職員1人を配置している。専用スペースに保護者が車を止めると、誘導員が園内に伝わるマイクで子どもの名前を呼び、短時間で子どもを車に乗せられるよう工夫している。園長は「本来ならお迎え時に保育士が保護者に子どもの様子を話す時間は大切。理想的な方法ではないかもしれない」と複雑な表情も見せる。
 保護者の中には駐車場に車を止めず、路上に車を止めて子どもを迎える人も。園長は「保護者側のマナーも大切だ」と強調する。
 八重瀬町の保育園では、近隣住民から「(園児がたたく)太鼓の音で眠れない。午前中はやめて」との要望があった。この住民は職場で夜勤をしており、午前中に眠る生活習慣だった。園は要望を受けて、太鼓の時間を午後に変更した。園長は「午前中は静かに過ごしているお年寄りもいるので、そこにも配慮した」と話した。