沖縄のい草守ります 畳だけじゃない? 中部農林高校


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生産者(右)の指導を受けながら、い草の栽培を体験する中部農林高の生徒=2015年11月、うるま市

 【うるま】昨年発足した中部農林高造園科のエコ・リサーチ部が、地域に飛び出し、農業体験を通して生態系の保存など農村の多面的機能を学んでいる。協力しているのは、地元うるま市の名産ビーグ(い草)を育てる生産者たち。生徒は赤土の流出や農家の高齢化など課題も学ぶ。昨年11月には、生物多様性の保全につながる活動を表彰する生物多様性アクション大賞2015(主催・国連生物多様性の10年日本委員会)で入賞した。

 活動の中心は約10人のエコ・リサーチ部だが、い草の栽培体験は造園科の1~3年生のほか、選択授業で参加した他学科の生徒も合わせ130人以上が経験した。昨年8月の収穫作業に始まり、今年3月までの間に苗取りや植え付けも行った。8月には再度収穫作業に臨む予定だ。

 うるま市のい草栽培は150年以上の歴史があるが、体験前は存在自体を知らない生徒もいたという。エコ・リサーチ部で造園科2年の金城杏佳さん(16)は「初めてい草栽培を経験し、農家の人たちの苦労や従事者の高齢化という課題が分かった。自分たちの世代でも生産が続くよう、環境保全をしていきたい」と力強く語った。

 活動の仕掛け人は、昨年赴任した大城匡司(まさし)教諭だ。5年間勤めた八重山農林高では、赤土流出の実態調査などを指導した同校環境工学部が第17回日本水大賞で農林水産大臣賞に輝くなど、体験型学習を重視してきた。

 大城教諭は「近隣の素晴らしい教材を活用し、生態系や河川の保護など農村が持つ多面的な機能を学んでほしい」と目を細める。既に具志川商業高と連携し、い草を使った新商品開発にも力を入れている。

 生産者の奥間淳さん(41)=市赤道=は「土に触れる機会は少ない。農業は大変な仕事だが、楽しみながら学んでほしい」と述べ、受け入れ継続に意欲を見せた。