ジュゴンの食み跡確認されず 辺野古の藻場、浮具など設置の14年夏以降


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に伴い、辺野古沖と大浦湾に浮具(フロート)と浮標灯(ブイ)が設置された2014年8月以降、辺野古崎付近の藻場でジュゴンの食(は)み跡が確認されていないことが分かった。22日までに公表された沖縄防衛局の水域生物調査報告書で明らかになった。ウミガメの米軍キャンプ・シュワブ沿岸部への上陸も14年は確認されなかった。専門家は、ジュゴンやウミガメが海上作業による影響を受けた可能性を指摘している。

 調査は防衛局が「シュワブH25年水域生物等調査」として、13年11月から15年3月までに実施した。16年3月18日に防衛局のホームページに公表された。
 報告書はジュゴンについて、辺野古崎付近の藻場で食み跡が14年4月に13回、5月に28回、6月に28回、7月に8回確認されたと報告。一方、海上作業が始まった8月以降、11月までは確認されておらず、11月以降は公表されていない。ウミガメについては、08~13年まで米軍キャンプ・シュワブ沿岸部への上陸が確認されていたが、14年は確認されなかった。
 ジュゴンネットワーク沖縄の棚原盛秀さんは「人間活動がジュゴンに与える影響は大きい」と指摘。フロートや調査船などはジュゴンにとっては自然界にない異物であり、「工事に伴う騒音もジュゴンの警戒心を高め、その地を離れる要因になりかねない」と分析する。
 14年11月の調査で、ブイなどを固定するアンカーの痕跡が辺野古崎南側の海草藻場上の36カ所で見つかっており、最長は265センチだったことも分かった。