ダウン症の弟、私の自慢 「障がい」FBで情報交換 矢崎陽さん(開邦高2年)


社会
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ダウン症の弟、凛さん(右)と戯れる陽さん。家族にダウン症や障がい者がいる人たちと交流するため開設したグループページへの参加を呼び掛けている=石垣市登野城

 【石垣】「障がいって、普通って何なのか。みんなで話し合い考えたい」。ダウン症の弟と2人きょうだいの矢崎陽(うらら)さん(16)=石垣市登野城出身、開邦高校2年=はダウン症や障がいへの理解が広がることを期待し、会員制交流サイトのフェイスブック(FB)で、ダウン症や障がいのある人たちで情報交換するグループページを開設した。心ない言葉が弟に向けられた悔しい体験がきっかけ。「特に同世代で話し合いたい。そこから何をしていったらいいか分かるかもしれない」と参加を呼び掛けた。

 ダウン症に対する周囲の認識が「変だ」と最初に思ったのは小学4年の時だった。クラスの自己紹介カードに「ダウン症の弟がいることが自慢」と書いたら「かわいそう」と言われた。弟の凛(りん)さん(12)=石垣第二中1年=は幼いころから元気いっぱい。いつも家族を明るくしてくれる。「なぜ勝手にそんなことを思うのか」。理由が分からなかった。
 陽さんが中学生になったころ凛さんは自ら興味を持った地元の劇団に入った。練習を重ね、大勢の観客の前で他のメンバーと一緒に踊りなどを披露した。
 しかし、翌日この公演を見に行ったという同級生がカーテンコールではしゃぐ凛さんの姿に「なんか障がいが変なことしてた。きもかった(気持ち悪かった)よな」と話しているのを聞いた。自慢の弟が侮辱されたという思いで怒りが湧き、つらくて泣いた。
 「ダウン症や障がいへの理解がないのが当たり前、ということをあらためて実感させられた」と陽さん。「弟は自分でやりたいことを探し舞台では堂々と演じている。周りの言う『普通』の意味が理解できない」と首をかしげた。
 同級生の言葉に泣いて母に電話した時、陽さんに気付いた凛さんが電話越しに母の後ろから「泣かないで。大丈夫」と声を掛けてきた。逆に勇気付けられた。「とても私のことを思ってくれている優しい弟。障がいがないことを『普通』と言うなら、普通の弟でなくダウン症の弟がいい」とほほ笑み、凛さんを見詰めた。
 現在はFBのほか、友人と動画投稿サイト「ユーチューブ」でのメッセージ発信なども思案中だという。陽さんは「みんなダウン症や障がいを知ろうとしないように感じる。ダウン症だからと構えず接すればいいと思う」と話し「FBで同じ気持ちの人が集まり、徐々に思いがつながって多くの人に理解が広がればうれしい」と期待した。
 陽さんが開設したグループページ「障害がある?それが何か?兄弟姉妹のグループ」はFBの友達検索で「やさきうらら」を打ち込み、陽さんのページから探すことができる。
(謝花史哲)