「先住民族」撤回要求 「人権侵害に目向けて」 沖縄県内、副大臣発言に疑問


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 国連が「沖縄への米軍基地の集中は現代的な人種差別」という見解を示し、県民の権利を保護するよう勧告した中で示された「先住民族」という言葉を巡り、政府と国連の認識の違いが、木原誠二外務副大臣の答弁で浮き彫りになった。木原外務副大臣が国連勧告の撤回、修正を求める方針を示したことに対し、県内の関係者からは「言葉に固執せず日米の沖縄に対する人権侵害に目を向けるべきだ」などと指摘する声が上がった。一方、昨年12月に勧告の撤回を求める意見書を可決した豊見城市議会からは「政府の後押しは心強い」との声があった。

 シールズ琉球の元山仁士郎さん(24)=国際基督教大4年=は「先住民族という言葉に固執せず、沖縄で日本政府や米国によって人権侵害が行われている点に目を向けるべきだ。国際法上も独立国だった沖縄を、日本が強制的に併合した歴史を踏まえて議論する必要がある」と指摘した。
 沖縄国際大学の大城尚子(しょうこ)非常勤講師=国際関係論=は「沖縄の自己決定権がないがしろにされており、民意が反映されていない状況がある。木原氏は国内法で解決できないから国連が介入しているという事実を把握しているのか」と疑問視した。
 親川志奈子さん(35)=琉球大大学院博士後期課程=は「沖縄から国連人権委員会の先住民族作業部会に参加し、国連特別報告者による調査も踏まえて出された勧告だ。政府はその議論を無視している」と批判した。
 豊見城市議会が可決した意見書の提案者の新垣亜矢子市議は「意見書を政府として後押しする答弁があったことは心強く思う。先住民族であるかの全県的議論はこれまでになされたことはなく、多くの県民も自分たちが先住民族だという認識は持っていないと考える」と述べた。