基地周辺校の空調補助、一部廃止 防衛省が通知、理由説明なし


この記事を書いた人 志良堂 仁

 在沖米軍基地周辺の学校で実施されている防音事業の空調(エアコン)維持費補助で、沖縄防衛局が一部対象校について2016年度以降の設計分から廃止すると県教育庁に通知していたことが28日、分かった。通知は14日付。県教育庁によると防衛局側からは補助廃止の理由の説明はなかったという。廃止の対象になるのは県立学校(高校・特別支援学校など)16校だが、一部の公立小中学校も対象になるとみられ、県は影響を調査する。県教育庁は「廃止されれば、生徒たちに与える影響が大きい」として、防衛局に対して補助を継続するよう求める考えだ。

 沖縄防衛局の職員が14日に県教育庁を訪れ、防衛省の制度改訂について説明した。現在は国が空調にかかる電気使用料の9割と、基本料の全額を補助している。県教育庁によると、廃止対象となる県立学校16校の補助額は15年度で7300万円に上る。
 空調維持費補助は県立学校の場合、普天間飛行場、嘉手納基地、キャンプ・シュワブ、キャンプ・ハンセン周辺や米軍機の飛行ルートとなっている学校が対象で、うるささの度合いに応じ4等級に分かれている。うるささの度合いが高い1、2級の補助は継続されるが3、4級が今後廃止の対象となる。県立学校で補助対象の37校のうち、廃止となるのは3級の16校。4級は県内にない。3級は1授業あたりの75デシベル以上の騒音が10回、または80デシベル以上の騒音が5回以上測定される学校とされる。
 空調の耐用年数は15~20年とみられ、本年度から廃止される県立学校はないが、空調設備の更新に伴って、随時廃止されることになる。県立開邦高が18年度に校舎の建て替えを予定しており、県立校では同校が最初に補助打ち切りの対象になるとみられる。
 補助の申請は設置主体の市町村などが行うため、県教育庁では現段階で公立小中学校の対象校数を把握していない。県教育庁は「公立小中学校では、空調設備の設計から設置までのスパンが短い場合もあり補助打ち切りの影響が早期に出る恐れがある」と危惧する。
 今回の補助廃止措置は沖縄防衛局が19日付でウェブサイトに公表した資料にも記載されている。