琉大教育学部、教員養成に特化 定員140人に増、中学コースも


社会
この記事を書いた人 志良堂 仁

 琉球大学(大城肇学長)は15日、生涯教育課程を廃止して教員養成に特化した2017年度教育学部の入学者選抜方法を発表した。教員養成課程は定員を従来の100人から140人に増やした。全国の国立大が小学校の教員養成のみに縮小しつつある中、独立した中学校教育コース(定員35人)を新設し、学力や不登校など県内の中学校が抱える問題改善へ、より力のある教員養成を目指す。今後まだ国との手続きなどがあるため、変更する可能性もあるとしている。16年度までに入学した生涯教育課程の在学生は卒業まで現行カリキュラムで学ぶ。

 生涯教育課程の生涯健康教育コース(10人)が行う栄養士養成には、農学部の亜熱帯生物資源科学科に健康栄養科学コース(10人)を設置。教育学部から離れることで栄養教諭の資格が取れなくなるが「沖縄県は栄養教諭としての採用をしていない」(教育学部)として影響は限定的とみている。
 心理臨床科学コース(20人)が行っていた心理教育は、法文学部人間科学科の臨床心理学コースに一本化される。法文学部で定員を増やす予定はなく、心理を学べる学部生の枠は減る。臨床心理士の受験資格が得られる大学院も、教育学研究科から人文社会科学研究科へ移される。教育学部で心理教育をしていた伊藤義徳准教授は「運動療法や音楽療法など教育学部内の教員と連携して多面的な視点を培えるよう努めてきた。それができなくなるのはとても残念」と惜しむ。
 生涯教育課程の沖縄島嶼(とうしょ)教育と自然環境科学教育の各コースで行われていた、沖縄の文化や自然に関する学びは法文学部や理学部が担う。担当教員は教育学部に残るため、これから作成される新カリキュラムでは生涯教育課程で行われていた専門性ある教育も継続される見込み。ただ、これらのコースでも教員免許を取得して教員になる学生がいたため、縮小を惜しむ声も出ている。
 教育学部の小田切忠人学部長は「教育学部としては教員就職率を上げることが求められている。学部定員は190人から140人に減るが、工学部や農学部は増える。大学全体として、必要とされる人を育てる責任を果たす」と話した。