「ぬちどぅたから」著者・真鍋さん講話 故佐次田さんの体験紹介


社会
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戦争と平和について語り掛ける真鍋和子さん=4月21日、伊江村立伊江小学校

 【伊江】児童書「ぬちどぅたから―木の上でくらした二年間―」の著者で、千葉県在住の真鍋和子さん(68)が伊江村で平和祈願祭があった4月21日、村立伊江小学校(山城祐市校長)の6年生12人を対象に講話した。真鍋さんは「戦争を理解するのは簡単ではない。この本は読者の皆さんと一緒に考えていきたいと願って書き上げた」と著者として伝えたい思いなどを語った。

 真鍋さんは児童文学作家で、日本大学芸術学部の講師を務め、「シマが基地になった日」などの刊行に当たり、伊江村民との関わりが深い。
 「ぬちどぅたから」は先の太平洋戦争で、終戦を知らずに同村西江前にあるガジュマルの木の上で2年間過ごした、故佐次田秀順さん(うるま市出身)と故山口静雄さん(宮崎県出身)の体験を事実に基づいて記した作品。1991年に初版が出て、2015年に改装版で復刊した。
 真鍋さんは「佐次田さんの体験を通して『戦争、平和とはどんなものなのか』『(生きる上で助け合うことの大切さ)友情について』を読者の皆さんと一緒に考えたい」と講話した。
 「人間は一人では生き延びられない」「もう二度と戦争を起こさないでください。人間にとってこれ以上不愉快、不幸はないという、あらゆることを体験しましたから」という生前の佐次田さんの言葉を紹介し、「戦争の事実とともに佐次田さんの心を読者に伝えたい」と語った。
 比嘉桜人(さくと)君は「生きるのは自分で生きると思っていたけれど、友達と一緒に生きる方が勇気づけられるので、友達を大切にしたい」と感想を述べた。田本七海さんは「二度と戦争は起こしてはいけないと思った。これからも平和について考えていきたい」とお礼を述べた。(中川廣江通信員)