美東(男子)42年ぶり頂点 県中学バレーボール


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 バレーボールの第56回全沖縄中学校選手権大会は1日、西原町民体育館で準決勝と決勝を行った。
 男子決勝では美東が西原東を破って42年ぶりに2度目の優勝を果たした。女子は伊波が石垣第二との激戦の末、初優勝に輝いた。

男子決勝 美東―西原東 相手のスパイクをブロックで止める池城浩太朗(右)ら=1日、西原町民体育館(金城実倫撮影)

◆美東、序盤の好機逃さず/スパイク連発 宿敵圧倒
 美東のエース、池原瑠のスパイクで、1974年以来の優勝を手にした瞬間、選手らは拳を突き上げ、歓喜に沸いた。試合中、怒号を上げていた山田政和監督も満面の笑みで選手とハイタッチしながら、「日本語がうまく話せないほどうれしい」と喜びを爆発させた。
 美東は、県内大会で優勝を争う宿敵・西原東の出足の遅さを逃さなかった。
 第1セット、西原東は相次ぐレシーブミスにより、エースアタッカー・照屋良和までトスが回せず自滅。その好機に美東は主将・池城浩太朗と翁長新太、池原がスパイクを浴びせ25対18と圧倒した。しかし、2セットは逆に美東がミスを連発して縮こまり、西原東に巻き返しを許してしまう。
 「何度も対戦した相手だ。先に13点を奪い主導権を握ろう」。池城を中心に声を出し合うと、ミスで萎縮していた池原も「みんなが拾ってくれる」と吹っ切れた。1カ月前からコンビを組む、セッターの吉元奨悟と高良友雅も攻守に加わると、ネット際の攻防をことごとく制した。
 西原東の新垣明仁監督が警戒していた「攻撃枚数が多く、波に乗せたら怖いチーム」となり、そのまま栄冠を手にした。
 勝利の喜びに浸る美東の選手らだが、リズムをつかむまで安定しない精神面の弱さに気付いている。ゴールデンウイーク中の九州遠征で修正していく予定だ。そして、目指すは夏の中学総体。
 池城は「未体験の全国大会につなげるため、優勝を目指す」と気合を入れた。
(嘉陽拓也)

女子決勝 伊波-石垣第二 仲間がつないだボールを相手コートに打ち込む前田夏那子(金城実倫撮影)

◆信頼し合う全員バレー/伊波、リズム崩さず
 優勝まであと1点。相手サーブを待つ伊波のメンバーの前で、ボールがネットにぶつかり、相手コートに落ちて小さくはねた。その瞬間、緊張から解き放たれたメンバーの顔がうれし泣きに変わった。
 「ミスしても皆がカバーしてくれる。負ける気がしなかった」と誇る主将・山内夏子の言葉通り、皆がメンバーを信頼してボールを拾い、激しい接戦でも「攻撃は最大の防御」のリズムを崩さなかった。
 石垣第二のエース・與那覇夏歩にブロックを集めて抑え、レシーブ能力の高いリベロ・川満愛優へのスパイクを避ける作戦。伊波のセッター・山内は相手の動きを封じつつ、前田夏那子と新里知加に左右からスパイクを打たせ、相手をほんろうした。
 昨年は準優勝。「先輩は悔しい思いをした」とみんなで苦しい練習にも耐えてきた。レフトの宇根あかりも踏ん張りどころで力を発揮し、ラリーで食らいつく相手をアタックで抑え、3セットは22点からサーブを2本連続決め、勝負を決定付けた。本大会初優勝に勢いづいた伊波。山田敏美監督は「このチームは波に乗ったら手が付けられない。そのまま夏の中学総体も優勝を目指す」と力強く語った。