立体的に作品を感じて 画家Satoさん、盲学校で絵の授業


この記事を書いた人 Avatar photo 大城 誠二
立体的にかたどられた猫の絵を触り「猫かわいい」と話す島當伸一郎さん(右)と画家のSatoさん=4月20日、南風原町の県立沖縄盲学校

 「絵を心の処方箋に」。
 北海道の画家のSatoさん(30)は沖縄や東京の盲学校で立体的に色付けした絵を活用し、目が見えない子どもたちの理解を助ける活動を始めている。Satoさんは「目で見えなくても感じられる作品を描きたい」と思いを込めた。

 Satoさんは北海道生まれ。看護師として働いていたが、7年前から3年間、人間関係のトラブルで体調を崩した。「人生どん底の絶望だった」と言うSatoさんは自然と絵を描くようになり、次第に絵に救われるようになった。「絵を描いている時、絵を見ている一瞬は時間が止まり、世界が広がる。絵で世界が広がれば、障がいや差別も超えられる」。
 2012年に看護師を退職し画家に転身した。全盲の友人が「ピンク色が好き」と話したことから、目が見えない人でも感じられる絵を描きたいと思うようになり、盲学校を訪ねるようになった。
 沖縄盲学校の職員とのつながりで、1月に初めて同校を訪れたSatoさん。2回目の訪問となった4月20日には、小学6年生のクラスを訪ねて絵を披露した。繊細なペン画を中心にした猫、イモリ、花火、月―。子どもたちは、木工用ボンドや絵の具で立体的にかたどられ、点字の入ったイラストを興味津々に触って確かめ、「花火だ!」「オレンジかな?」と楽しそうに話す。上江洲星奈さん(11)は猫が月を触っている絵を気に入った。「絵だと猫も月を触れちゃう。次は雪の結晶を描いてほしい」と次の注文も挙がった。
 江崎みさ子教諭は「触ることで見えない物を取り入れることができる。Satoさんとの交流が続いたらいい」と期待する。
 Satoさんは「いろんな人の世界を私の絵で広げられたらいい。絵が心の処方箋になれたらと思う」と笑顔で話した。(田吹遥子)