子の教育 社会で支えて 田中さんが教師と地域の連携強調


この記事を書いた人 新里 哲
「社会的に貧困がある中で子どもたちが心に傷を受けている」と語る田中孝彦元武庫川女子大教授(左から2人目)=7日、那覇市の沖縄大学同窓会館

 子どもが必要とするケアと学習の在り方について考える学力シンポジウム「子どもが求めているケアと学習-貧困・子ども理解・おとなの共同関係」(同実行委員会主催)が7日、那覇市の沖縄大学同窓会館で開かれた。田中孝彦元武庫川女子大教授が講演し「経済的理由で保障されるべき学習、教育機会が奪われている子どもへの社会的対策が必要だ」と社会全体で子どもたちを支える必要性を訴えた。フリースクールの珊瑚舎スコーレに通う高校生2人が体験を報告した。約130人が参加した。

 田中元教授は「子どもの貧困」という言葉について、子どもに原因があるわけではないことを強調し「慎重に使うべきだ。文科省が子どもの学習意欲、規範意識の低下などの対策として推進してきた『子どもをどう鍛えるか』という議論と重なるとまずい」と指摘した。
 米国の心理学者ブルーナーの「貧困と子ども期」という言葉を挙げ、子どもを取り巻く環境を「経済的理由で高校に通い続けられないなど、社会的に貧困がある中で子どもたちが心に傷を受けている。加えて競争や自己責任論も生徒たちを追い詰めている」と強調した。
 学校については「子どもの生存の安全を徹底して保障する場であるべきだ」と指摘。教師には「子どもの声を聞き、周りの大人と協力して子どもの生存と発達を支える専門職としての役割が必要だ」と要望した。