エアコン補助一部廃止 防衛省「厳しい財政」でも予算増


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 在沖米軍基地周辺の学校防音事業の空調(エアコン)維持費補助が2016年度以降の実施設計分から一部廃止される問題で、防衛省は廃止対象の学校・施設名や市町村ごとの維持費などを公表せず、情報開示に消極的な姿勢に終始している。県教育庁は廃止措置の撤回を求める意向で、県内で反発が広がっている。

 沖縄防衛局が県教育庁に一部廃止の通知をしたのは4月14日付。維持費補助は空調設備を補助する法律を実施するため、交付要綱を定めた訓令で規定されているが、同省によれば維持費補助の訓令は4月上旬までに変更した。防衛省は制度が変わった「事後」に県教育庁に通知したことになる。
 防衛省は廃止対象となる学校・施設についても積極的に情報を開示していない。15年度の実績で県内の維持費補助108施設、2億1800万円を明らかにしたのも本紙の取材に応じたものだ。
 防衛省は維持費補助の一部を廃止と同時に空調設備の更新などを行う「機能復旧工事」の補助率を上げる措置もとっており、詳細な影響額が判明しないようにもなっている。
 維持費補助の一部廃止の理由について、同省は「厳しい財政状況を踏まえての制度の見直し」を挙げている。ただ防衛省予算は全体では増額しており、米軍機による騒音が減ったという事実もない。予算減となる理由が判然としないままの措置は教育環境の悪化につながりかねない。
(仲村良太)