製糖比率が低下、12・3% 天候不順で糖度低く


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 今期の県内の黒糖生産量は前年比で5%多い約7400トンを見込む一方、原料に対し製糖できた量の比率を示す歩留まりは前年比0・84ポイント低い12・30%にとどまる見通しであることが10日、県黒砂糖工業会(西村憲会長)のまとめで分かった。原料となるサトウキビの生産量は増えたが、天候不順によりサトウキビの平均糖度が低い傾向にあることが響いた。黒糖の生産に当たる関係者は「歩留まりはここ5~10年で一番低いのではないか」と話し、経営への影響に懸念を示した。

 県内で黒糖を生産するのは多良間島や波照間島など8工場ある。これらの地域のサトウキビ生産量は前年比12・2%増の6万841トンを見込んでいる。
 一方、先島地方を中心にサトウキビ収穫期の長雨が続いた影響で、水分が多く吸収されたり、糖分が成長に消費されたりしたことが響いて糖度は低い傾向にある。例年、糖度は14度前後が目安だが、西村会長は「平均糖度は13度を下回る可能性がある」と今期の見通しを語った。
 サトウキビの糖度低下は農家の収入減につながるほか、製糖工場の経営にも影響を及ぼす。長雨の影響でハーベスターが畑に入れられず収穫に遅れが出ており、工場の操業期間が長期化したのも製造コストが上がる要因となっている。
 西村会長は「価格の引き上げは市場の縮小が懸念され、難しい。今期の決算は各社とも厳しいものになるだろう」との見通しを示した。その上で「来期以降どう取り戻すかが課題だ」とし、行政とも連携し対策を進める考えを示した。