「あの子にグローブを」 心残り果たすため沖縄に


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1958年時の写真を説明しながら当時を懐かしんだディック・ブルースさん=7日、沖縄市山里のデイサービスライカム

 【沖縄】1958年に13カ月間、うるま市昆布にあるキャンプコートニーに滞在した元米海兵隊員のディック・ブルースさん(77)=ロサンゼルス在住=が7日、沖縄市山里のデイサービスライカムで利用者と交流した。県内滞在中にカメラを手にし、撮り続けた当時の生活風景や子どもたちの写真を見詰めながら、昔日を懐かしんだ。

 ブルースさんは、20歳の時に沖縄に派遣され、滞在中に約500枚の写真を撮ったという。米国へ帰国した後の12年5月に53年ぶりに来県した。その際、北中城村で写真展を開催し、デイサービスライカム(佐久本創所長)が施設内で展示を要望したのが縁で、今回の来県が実現した。
 滞在当時とは街の風景など「何もかもが変わった」と話すブルースさんは、写真撮影のため基地周辺の宇堅集落などを度々散策したという。「当時は、みんな知り合いで仲良くしていたが、今はどうなのかな」と、人々との交流に思いをはせた。
 今回の来県は、昔の滞在時の心残りを果たすのも目的の一つ。慈善の一環で子どもたちへグローブやボールなど野球道具を配布したが、1人だけ受け取れなかった子へ、あらためてグローブを贈りたいという。
 ブルースさんは「贈呈の際の記念撮影で1人だけ笑えていない子がいた。忘れられない。グローブを持ってきた」と、写真を指しながら、ずっと心に引っ掛かっていた思いを果たすことに期待している。19日ごろまで沖縄滞在の予定。