「振り回された」 USJ撤回、自治体困惑


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 「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」(大阪市)の運営会社ユー・エス・ジェイが沖縄への新たなテーマパーク計画を見送ったことを受け、建設地として浮上していた本部町の関係者からは「振り回された」など困惑や不満を示す声が上がった。一方、候補地の一つに挙げられていた名護市の関係者からは「北部地域の活性化が期待されていた。残念だ」などと落胆の声が上がった。

 本部町では地元への説明も不十分なまま計画が浮上し、撤退も決まった。高良文雄町長は「何を言っていいのか言葉も見つからない。せっかく町民みんな期待していたのに、こんなに世の中を騒がして。正式に県からわれわれに説明も何もない」といらだちを見せた。
 本部町観光協会の當山清博会長は有力候補地に国営海洋博公園が挙がっていたことに触れ、「管理運営する沖縄美ら島財団と共存共栄する施設になるよう期待していた。だがUSJ、国、県から正式に説明がないまま無くなった。何だったのか」と困惑を隠さなかった。同町商工会の松田泰昭会長は「政治的なうわさも聞こえたが、その通りだったのかなとも思ってしまう。期待をして振り回された」と肩を落とした。
 一方で、稲嶺進名護市長は「名護市が一番最初に候補に挙がり、専任の職員を置いて調整を進めていた。商工観光業の関係者や議会からも期待する声が大きかったので、非常に残念だ」と肩を落とした。その上で「やんばるには美ら海水族館の他にも核となる観光施設が必要だ。採算の見通しは立っていたと思う」と語った。
 名護市商工会の金城哲成会長は「残念だ。有力候補地が名護市から本部町に移ったが、北部全体の活性化につながると期待していた」と落胆した。
 沖縄美ら海水族館の内田詮三名誉館長は「美ら海水族館の誘客効果を利用したかったのだと思うが、美ら海水族館には他の水族館にはない価値がある。本来のやり方を継続していくのがいい」と話した。