泡盛売上高43%減 東商リサーチ調査 45社決算から推計


この記事を書いた人 新里 哲

 東京商工リサーチ沖縄支店は12日、独自調査による泡盛酒造所45社の業態分析を発表した。45社の最新決算(2014年12月期~15年12月期対象)の総売上高は169億2232万円で、最盛期の299億9616万円に比べて43・6%減少したと推計した。一方で、最新決算と前期決算が比較できた36社のうち14社で増収となっており、同支店は「右肩下がりに歯止めが見えてきた部分もある」と直近の状況を分析した。

 調査は、来年5月に酒税軽減措置の期限切れを控える中、11年連続で出荷量減少が続く泡盛業界の現状を把握するために実施した。決算数値を公開している酒造所が少なく、これまで泡盛メーカー各社の経営動向をまとめた調査はほとんどなかった。
 泡盛業界は焼酎ブームやもろみ酢ブームが相まった2003~05年にかけて最盛期を迎え、当時の売上高が判明した20社のうち17社が同時期に過去最高の売上高を記録していた。最盛期の売上高が不明な企業については、泡盛の出荷量がピークの04年から30・5%減少していることを踏まえ、最新決算から逆算して売上高の推定値を出した。
 45社の最新決算では4社が売上高10億円を超え、最高は25億円だった。これに対し、最盛期には10億円を超えたのが11社に上り、最高は45億円を記録していた。また、直近では売上高1億円未満の酒造所が過半数の24社を占め、最小は1500万円だった。過去最高利益が判明した24社のうち1億円以上が10社に上った。しかし最新決算で利益が判明した32社のうちでは500万円未満が17社を占め、5社は赤字だった。
 同支店の友利政人情報部長は「辛うじて採算を維持している程度の零細企業がほとんどを占めている。ブームが去って約20年前の出荷量に戻った中、軽減措置後を見据えた経営をしないと、より減退する可能性がある」と指摘した。特別措置の再延長に関しては「世襲が前提など経営の特殊さはあるが、税金を投じる以上は経営の透明性を高めないと県民の理解は広がらない」と述べた。
 45社の平均業歴は82・2年と長い傾向にあり、新里酒造(170年)、瑞穂酒造(168年)、神村酒造(134年)など10社が100年超となっている。創業からの世代は3代目が18社と最多で、2代目が13社、4代目が8社と続いた。業歴の長い新里酒造が交代歴でも最多の7代目となっている。