「公平性」って何ですか? エアコン補助廃止


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 【東京】中谷元・防衛相は12日の参院外交防衛委員会で、基地周辺の学校で防音事業の空調維持費補助が一部廃止される問題で、廃止の理由について「騒音が発生していなくても空調機を設置して維持費等を負担している公立学校との公平性を考慮した」と述べた。そもそも騒音がある不平等性を差し置いて、騒音のない学校の公平性を論じる政府の姿勢に専門家からは「沖縄の学校の音環境こそが不平等」などと政府見解を厳しく批判する声が上がった。

 糸数慶子氏(無所属)の質問に答えた。糸数氏は、米軍機の飛行ルートは定まっておらず、政府の等級分けが形骸化していると疑問視し「補助廃止は一方的だ。基地周辺の学校全てに騒音被害に対する補償として支払われるべきだ」と主張しながら質問した。
 中谷氏は空調維持費補助の廃止理由を説明した上で、米軍機の騒音については「住民に与える影響を最小限にとどめるよう今後も米側に働き掛けたい」と述べるにとどめた。
 委員会での質問後、糸数氏は本紙の取材に「騒音があるから空調機を付けないといけない」と政府姿勢が不平等の意味をすり替えていると批判した。
 基地周辺の学校などで騒音調査を実施する渡嘉敷健琉球大准教授(環境工学・騒音)は、沖縄では至る所で米軍航空機騒音が発生していると指摘する。「全国的に見て沖縄の学校音環境は不平等だ。防音工事は当初目的が『学習音環境の改善』にもかかわらず、相変わらず学校上空を米軍機が通過する状況は変わっておらず、さらにオスプレイの飛行も広範囲に行われていることも改悪に拍車をかけている。納得できない」と指摘した。