実現するか?一本化 那覇商議所次期会頭人事


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(左から)石嶺伝一郎氏、国場幸一氏

 10月末で任期満了を迎える那覇商工会議所の次期会頭に沖縄電力会長の石嶺伝一郎氏(67)が浮上し、先の県知事選で二つに割れた経済界をまとめられるかが次の焦点となった。現会頭の国場幸一氏(74)は、仲井真弘多前知事を支援し、翁長雄志知事を支えた金秀、かりゆし両社と対立した。選挙戦を回避し、話し合いによる一本化が実現するかが注目される。

 石嶺氏は関係者に「私で経済界がまとまるのか、会員の意見を聞きたい」と伝え、環境が整えば擁立の要請を正式に引き受ける姿勢を示しているという。沖縄電力、国場組、りゅうせきの主要企業グループの支持を得ている。
 こうした中、一本化の鍵を握る金秀グループの呉屋守将会長(67)は琉球新報の取材に「国場氏の路線を踏襲するのかどうかを確認したい」と述べ、石嶺氏の政治的な立場によっては自身が立候補することも辞さない構えだ。
 那覇商工会議所の会頭は沖縄の産業界を代表する顔役に位置付けられ、県商工会議所連合会会長も兼ねる。国場氏は2008年に会頭に選出され、現在3期目。11年には県経済団体会議の議長にも就き、県経済界のトップとして強い発言力を示してきた。
 一方、米軍普天間飛行場の返還問題で辺野古移設推進を持論とし、仲井真前知事時代には県政や自民党政権と緊密な関係を築いた。14年の知事選で辺野古移設に反対する翁長知事が当選し県政交代が起きる中で、前県政の影響を残す国場氏が経済界のトップを続けることに知事周辺の反発があった。
 国場氏に比べて政治的な色が薄く、実務型の人物である石嶺氏の擁立が浮上したことで、企業幹部の中には「沖縄振興の取り組みが重要な時期を迎えているし、直近でUSJの沖縄進出撤退も出てきた。いつまでも経済界が割れてはいけない」など選挙戦の回避を通じて、経済界の再結束を求める声が上がる。
 国場氏にとって最大の対立候補と目され、次の会頭選びの中で動向が注目されていたのが呉屋会長だ。石嶺氏を推す企業グループは、呉屋氏を軸とした対抗馬擁立を激しく警戒し、石嶺氏への支持で会議所会員の取り込みを図る多数派形成を水面下で進めてきた。
 呉屋氏は「これまで国場会頭は、現政権の代弁者かのように翁長県政を批判してきた。石嶺氏も県政に非協力的な立場で会頭に立つのであれば、負け戦でも対決する」と指摘。その上で「私のスタンスも、話し合いによる決定だ」とも強調し、経済界が一致できる方策を石嶺氏と直接確認したいとの意向を示す。
 石嶺氏で経済界が一本化する流れに向けては、副会頭以下の新役員構成の構想などが焦点となってきそうだ。一方で、県議選、参院選という政治イベントも控え、引き続き経済界の結束に政治が影を落としそうな要素もある。(与那嶺松一郎)