<「希望この手に」シンポに寄せて>2 「目の前の子が必要としている支援を」


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蟇目崇さん 侍学園スクオーラ今人沖縄校校長
 大学で児童福祉を学び、出身地の岩手県では社会福祉協議会で高齢者福祉に携わった。認知症の人や家族関係の問題を抱えた人などいろんな高齢者に向き合う中で、地域づくりの視点で福祉を変えられないか考えてきた。その後、沖縄に移住し「サポートステーションなは」で若者支援に取り組んだ。

 引きこもりなど困難を抱えた子どもたちを受け止める大切な場所だったが、事業の方向が居場所から就労に移行し、ハローワークにさえ行けない子どもたちが居場所を失っていった。事業や制度が変わっても子どもの背景は変わらない。制度のはざまにある子たちの「こんな所があればいい」という思いを実現しようと合同会社をつくり、活動を続けた。

 今、子どもや若者を支援する機運が高まり、各地で動きが出ている。ただ「場」は道具。大切なのは、目の前の子どもに向き合う時間を持つことだ。「何かしたい」という感情だけでは子どもの悩みは分からない。逆に、専門職でない人でも子どもと関係をつくれば課題は見える。また子どもの支援は家庭の支援だ。見えた課題への対処を考えるのが周囲の役割だ。

 制度や既存の組織は役割が明確になることで「これはできない」と止まってしまうことがよくある。組織に属さない人が縛られず難しく考えず、目の前の子どもが必要としている支援をできればいい。できないことは行政や他団体につなげば、今までにないネットワークができるだろう。
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 シンポジウム「希望この手に~沖縄の貧困・子どものいま」が、20日午後6時半から那覇市のパレット市民劇場で開かれる。入場無料。整理券が必要で、琉球新報本社・各支社、沖縄テレビ、ラジオ沖縄で配布。問い合わせは社会部(電話)098(865)5158。