「温かさ伝えたい」 孤立防ぐ支援を訴え 那覇で貧困シンポ


この記事を書いた人 志良堂 仁
シンポジウム「希望この手に~沖縄の貧困・子どものいま」で、県内の子どもを取り巻く状況や対策について意見を出し合うパネリストら=20日、那覇市のパレット市民劇場
徳丸ゆき子さん

 子どもたちのよりよい未来へ、できることを考えようとシンポジウム「希望この手に~沖縄の貧困・子どものいま」(主催・琉球新報社、沖縄テレビ、ラジオ沖縄)が20日、那覇市のパレット市民劇場で開かれた。基調講演で大阪子どもの貧困アクショングループ(CPAO)代表の徳丸ゆき子さんは、シングルマザーを対象にした聞き取り調査などから「人や社会を信頼してSOSを出せるよう、人の温かさを伝えたい」と活動に込める思いを語った。約380人が熱心に聞き入った。

 自身もシングルマザーの徳丸さんは、大阪市で子どもや母子の餓死事件が起きたことを契機に孤独な子育てを社会とつなぐしかないと発起し、「ご飯会」や相談などの活動を始めた。「人と人がつながるしかない。皆さんがその1人になれば、それだけ沖縄の子どもが救われる」と結んだ。
 続くパネルディスカッションで、児童養護施設なごみ卒業生の山城謙人さんは「悲観もしたが、人との出会いで人生は変わる」と理解者の大切さを語った。風俗で働く女性のインタビューを行っている琉球大の上間陽子教授は「貧困対策を善意に頼るのではなく、人権問題と考えなければ」と指摘。認定NPO法人侍学園スクオーラ・今人沖縄校の蟇目(ひきめ)崇校長は「一人一人の子どもに向き合って」と呼び掛けた。県子ども未来政策室の川満孝幸主幹は県の実態調査に基づく対策計画を説明した。
 会場からは「若者の継続支援のためにはどうしたらいいか」「小学校教員ができることは何か」「児童養護施設に必要な支援は何か」などの質問が出た。