「米軍いる限り事件防げぬ」 大田元県知事、全基地撤去訴え


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米軍事件再発防止に向け、「地位協定改定と全基地撤去が必要だ」と述べる大田昌秀元知事=21日、那覇市内

1995年の少女乱暴事件時に県知事を務めた大田昌秀氏(90)は米軍属女性死体遺棄事件を受け「日米両政府が再発防止を真剣に考えるなら、米兵の好き勝手を許している日米地位協定を真っ先に変えるべきだ。米軍がいる限り、事件は防ぎようがない。沖縄から米軍を撤退させるべきだ。そうしない限り、必ず同じような事件が起きる」と述べた。再発防止に向け、日米両政府は地位協定改定と県内の全米軍基地撤去を実現すべきだと主張した。21日、本紙のインタビューに答えた。

 少女乱暴事件を受けた県民大会壇上で「本来一番に守るべき幼い少女の尊厳を守れなかったことを、心の底からわびたい」と述べたことを振り返り、大田氏は「軍隊の中では『人を殺せ』と教えられているが、『人権を大事にしろ』とは教えられない。こんな軍隊を置いていたら、県民がいつまでも犠牲になるのは当たり前だ」と指摘した。

 大田県政は96年、20年かけて沖縄から全米軍基地をなくす基地返還アクションプログラムを作り、日米両政府に実現を求めた。大田氏は「日米政府がきちんと受け止めて実行していれば、2015年に米軍基地はなくなっていた。こんな事件は起きずに済んだ」と述べた。

 大田氏は「事件が起こる度に司令官が来て『二度と起こさないようにする』と繰り返してきたが、復帰後だけでも500件以上の凶悪事件が起きている」と指摘し、「それなのに日米地位協定を改定しようとせず、『運用改善』で対応できると言う。沖縄に対し、日米両政府が誠意のないことを実証しているようなものだ。沖縄は一体、何なんだということになる。両政府の本気度が問われている」と強調した。(当銘寿夫)