【北部】米軍属女性死体遺棄事件で亡くなった女性を見送ろうと、本島北部の告別式会場には長蛇の列ができた。同級生、幼少時を知る近所の親類、共に働き汗を流した職場の同僚たちなど、元気だったころの女性を知るたくさんの人が喪服姿で参列し、遺影の中でほほ笑む女性に無言の別れを告げた。告別式場から出てきた参列者は目を真っ赤に腫らせ、涙で頬をぬらす人もいた。厳しい表情で目を伏せる人、基地がある故の不条理を語る人、むなしさや怒りを吐露する人など、悲しみが式場にあふれた。
祭壇には、成人式の前撮り写真が飾られていた。ピンクのドレスとティアラ(王冠をイメージしたアクセサリー)を着け、黒色の髪を束ねた女性が愛らしく笑っていた。
告別式の冒頭、多くの参列者を前に喪主の父親があいさつした。「彼女の笑顔を、忘れないでください」。呼吸が乱れ、途切れ途切れに話す父親の声は涙声になった。その言葉を聞いた参列者からもすすり泣く声が漏れた。
告別式は約1時間で終わった。女性の遺骨は、しっかりと父親の胸に抱かれていた。両親と交際相手の男性は参列に感謝し、深々と一礼した。参列者もハンカチで目元を押さえながらこうべを垂れた。女性の遺骨は両親と交際相手の男性の3人に囲まれ、一台の車で会場を後にした。告別式を終えた後も、高校時代の友人らはその場に残り、女性の写真が飾られたメッセージボードとともに最後の集合写真を撮っていた。