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<沖縄基地の虚実13>収入、市財政の3% 現状無視の“神話”


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 インターネット上では、在沖米軍基地が沖縄経済に好影響を与えているという言説が流布している。在日米海兵隊は公式ホームページで「在沖縄米軍がもたらす経済効果」と題して「民間地域での消費は地元経済に大きく貢献している」と説明している。2017年度から使用される帝国書院の高校教科書「新現代社会」のコラムでも同様の記述が掲載された。

 米軍基地の存在が地元経済に好影響をもたらすという言説は、現状を無視した“神話”でしかない。1月の宜野湾市長選に出馬した2人の候補者は、米軍普天間飛行場の即時返還を求めることで一致しており、宜野湾市議会の与野党も即時返還を求めている。
 宜野湾市は16年3月に作成した基地に関する冊子で、一般歳入額に占める基地関係収入は06~13年の間、3%台で推移していることを紹介している。普天間飛行場の日本人従業員は14年3月末現在で204人で、宜野湾市の従業者数3万3821人の約0・6%だ。一方で同飛行場は市面積の4分の1を占める。
 市の担当者は「収入も雇用も返還後の跡地利用によって何十倍になるだろう」と話し、基地の存在が経済面での発展を阻害していると指摘する。
 県が15年1月に公表し、ホームページでも随時掲載している「駐留軍用地跡地利用に伴う経済波及効果等に関する検討調査」では、普天間飛行場の返還後の直接経済効果は返還前の32倍と試算している。調査は県や国がまとめた資料を基に実施した。
 普天間飛行場の返還後の産業としてリゾートコンベンション産業や医療・生命科学産業を想定しており、返還後に生じる飲食業やサービス業などが、返還前の地代収入や軍雇用者所得や米軍等への財・サービスの提供などに代替し、120億円から推計で3866億円に増額する。
 ジャーナリストの屋良朝博氏は「基地の広大な面積に比較すると雇用者は少ない。基地に経済的発展性はあるのかも疑問だ」と語る。思いやり予算の存在を挙げ「米海兵隊は経済効果があると言っているが、彼らが使うお金は日本国民の税金だ」と指摘した。
 宜野湾市内の食料店の店主に米軍基地の存在が好影響をもたらしているのかを尋ねると「そんなことあるわけないさ」と一蹴。「米軍関係者は市内ではあまり買い物はしない。基地はないほうがいい」と話した。
(安富智希)