報道「公平でない」 米四軍調整官、沖縄蔑視表現の教育研修資料で


この記事を書いた人 新里 哲
ローレンス・ニコルソン在沖米四軍調整官

 米軍属女性遺棄事件を受け、在沖縄米軍トップのローレンス・ニコルソン在沖米四軍調整官が28日、キャンプ瑞慶覧で記者会見した。米海兵隊が沖縄に着任した兵士に行っている教育研修の資料で県民を侮蔑(ぶべつ)する表現が用いられている問題に関する報道について、ニコルソン氏は「恐らく一つの部分に焦点を当てた内容だと思う。公平ではないと感じる」と主張した。資料で「沖縄県は基地問題を中央政府との関係のてこにしている」といった表現が用いられていたことへの評価を問う質問には「中身については適切、妥当か精査を続ける。沖縄社会との開かれた議論は歓迎するし、不公平な内容があれば議論したい」と述べた。

 ニコルソン氏は会見で、研修自体は若い兵士に「沖縄の地域社会や文化を伝える」目的があるとした。批判に反論した一方、資料で用いられた侮蔑的な表現の当否は論評せず「今回の会見は研修に関するものではない」と繰り返し、事件・事故防止の根幹に関わる隊員教育の在り方については議論を避けた。

 県内では翁長雄志知事が研修内容について「上から目線の極み」と述べるなど反発が広がっている。

 ニコルソン氏はこの日、被害女性の冥福を祈り、県民と共に喪に服すとして、27日から30日間の「寄り添い、哀悼する期間」を設けたと発表した。基地外での飲酒や祝宴、午前0~5時までの外出などを自粛する。

 ニコルソン氏は会見で「事件に対する沖縄との立場に違いはない」と強調した。一方、事件を受けて県議会が米海兵隊の撤退を求める決議を可決したことへの受け止めを問われ、「今回の会見の趣旨に沿わない」と述べるにとどめた。

 県が求めた「実効性のある再発防止策」について、ニコルソン氏は米軍が実施している深夜外出や飲酒を規制する「リバティー制度」に触れ、「隊員が従うのであれば、効果的だと思う」と説明した。その上で同制度を「今後も見直していきたい」と述べた。

 また「県との開かれた話し合いでも改善に向けた素晴らしい提案があれば検討したい」と述べ、地元とも内容を協議する意向を示した。