バドミントン・南風原23年ぶり快挙 県高校総体第5日


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 2016年度県高校総合体育大会第5日は1日、県内各地で3競技が行われた。バドミントンはシングルスの決勝まで行い、男子は新里智司(南風原)、女子は前田志織(同)がそれぞれ頂点に立った。南風原勢がシングルス、ダブルス、団体の優勝を独占し、23年ぶりに完全優勝を達成した。

 テニスの男子シングルスは澤岻祐太(沖尚)が制して、ダブルスは澤岻と上原裕矢(同)のペアが優勝した。女子シングルス決勝は下地奈緒(同)が我那覇真子(同)との接戦で勝利をつかんだ。下地と我那覇はペアで出場したダブルスでも栄冠を手にした。

 ラグビーは名護がコザを破って頂点に立った。

持ち前の粘り強さで得点を重ね、3冠を飾った前田志織(南風原)=1日、那覇市民体育館(屋嘉部長将撮影)

◆女子シングルス 前田、天国の祖父へ贈る3冠

 天国の祖父へ最高の贈り物ができた。県総体開会式の日に大好きだった祖父・與那城博司さんが亡くなり、「3冠をプレゼントしたい」と臨んだ南風原の前田志織。団体、ダブルスを制覇し、残るのは1日のシングルス。そこで激闘を制し、3冠を達成した前田には込み上げる思いと涙があった。

 負けられない試合は第1シードの重圧との戦いでもあった。前田は「(初戦から)緊張していたが、プレッシャーに負けず、やってきたことをちゃんと結果に残せてうれしい」と気丈に笑う。

 安定したプレーで配球や粘り強さを持つ、前田のシングルス決勝の相手はダブルスのペア、與儀美羽。緊張から“スロースターター”と評される前田は決勝の第1セット前半もパワーがある與儀にやられていた。

 11点以降は「先に取ろう」と意識。同校対決でペアでもある與儀の特徴は知り尽くしている。左利きでフォアが強い與儀に対し、バックを狙ってシャトルを放ち得点を重ねた。終始リードし、何度も迫る與儀を寄せ付けず勝利した。

 日頃から新聞をチェックし、孫の活躍を応援していたという祖父。前田は「絶対に3冠を取るから」と天国の祖父へ誓い、その勇姿を“見せた”。

 次は全国だ。強豪がそろう舞台で「赤嶺靖先生のアドバイスを、しっかり生かせるよう一日一日を大切にしたい」と気を引き締める。みんなで全国に行ける最初で最後の団体戦は1勝、1年生からダブルスで連続出場している個人戦はベスト16を目標に定め、最後の総体へ挑む。(崎原有希)

緩急を付けて大事な場面で決め、3冠を手にした新里智司(南風原)

◆男子シングルス 新里、恩返しの完全王者

 男子シングルスは4強全員が南風原勢の同校対決だった。新里智司は「結果で恩返しできてうれしい」と3冠の喜びをかみしめた。

 赤嶺靖先生の指導を求め沖縄市から南風原へ進学を決めた新里。最後の総体を前に、入学時から送迎を続ける家族や支えてくれる人たちへの感謝が募る。3冠の重圧で「怖かった」と振り返るが「気持ちを素直にはき出したことでリラックスできた」と勝因を分析する。

 「決勝で会おう」と約束していた外間翔は意外性のあるプレーをする油断できない相手。新里は「相手が疲れるまでとにかくつなごう」と臨み、冷静に試合を運び、大事な時に決め、譲れない戦いに気持ちで勝った。

 決定力の向上を掲げて挑む最後の全国総体。団体8強、ダブルス4強、シングルス8強を狙い「全国に(沖縄の南風原の)名を残す」挑戦が始まる。