部活生は学力高い傾向 中体連調査


社会
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 県中学校体育連盟(山内一秀会長)が2015年度に実施した部活動と学力の相関についての調査で、部活動に加入する生徒は未加入の生徒に比べ、学校の定期テストの点数が高い傾向にあることが分かった。県中体連は「部活動によって集中力や時間の自己管理能力などが養われ、学業にも生かされたのではないか」と分析している。

 調査は、部活動が学業に与える影響について実態を把握することを目的に、15年11月から12月にかけて県内の中学2、3年生6585人を対象に実施した。生徒の部活動加入状況を調べ、2学期の中間テストの点数と照合した。

 中間テスト(100点満点)の点数では、運動系の部活に加入している生徒4155人の平均は国語68点、数学64点、英語62点、文化系の部活に加入している生徒600人の平均は国語68点、数学63点、英語61点だった。運動系の中でも九州大会に出場した生徒333人は、5科目とも平均点が最も高い結果となった。

 これに対し未加入の生徒1830人の平均は国語58点、数学48点、英語50点だった。理科、社会でも部活に加入する生徒が上回った。

 中間テストの内容が学校ごとに異なるため、中体連は一概に比較はできないとしているが、高良朝彦事務局長は「部活動に限らず、校外のクラブ活動など打ち込むものがあれば、学習意欲向上にもつながっているのではないか」としている。

 また仲程正理事長は「顧問の教員によっては、練習時間の一部を自習時間に充てるなど学業面の指導もしている。競技力に限らず、生徒の全体的な成長を意識して指導している」と強調した。

<識者談話>自己管理能力が向上/笹澤吉明氏(琉球大准教授)
 調査では部活動加入生徒の学力が相対的に高く、未加入の生徒が相対的に学力が低いことが明らかになっている。学校での部活動が学習能力向上につながることが分かる。

 要因としては、部活動に加入することで限られた時間内で自分の時間を管理する能力や、集団行動の中で養われるコミュニケーション能力の向上に効果がある。子どもたちが懸命に打ち込める部活動があることは日本の教育の強みでもある。

 また、運動することで食欲の増進や深い睡眠を取ることなどに効果があることは科学的にも証明されている。
 部活未加入生徒の背景についても探る必要がある。経済的理由が部活動未加入の要因となるのであれば、学校で部活動の用具をそろえたり、部活動の用具購入に補助を導入したりすることも検討すべきだ。(公衆衛生学)