「辺野古の日常伝える」 立命館大・八島さん 1年滞在、生活撮影


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辺野古区のハーレーを撮影する八島輝京さん=5月15日、名護市の辺野古の浜

 【名護】立命館大学映像学部4年次の八島輝京さん(22)=東京出身、京都在住=は2015年4月から16年3月まで1年間休学して名護市辺野古区に滞在し、区内の地域行事や日常生活の様子について撮影した。4月から大学へ復学し、記録した映像でドキュメンタリー映画の製作を目指している。米軍普天間飛行場の移設問題の側面で取り上げられる機会が多い辺野古だが、住民らの普段の等身大の風景を伝えたい考えだ。

 八島さんは大学1年の一般教養で在沖米軍基地に関係する講義を受講したのをきっかけに「オスプレイの騒音は本当にうるさいのか聞きに行ってみよう」と思って沖縄を訪れ、米軍普天間飛行場や辺野古に足を運んだ。

 辺野古に関し、当初は座り込んで抗議行動をする市民の印象が強かったというが、実際に座り込み現場を訪れると「不思議な感じがした。住民に会えなかった。基地反対のイデオロギーの問題になってしまっているようにも感じた」と振り返る。

 何度か訪問する中で、辺野古移設に反対の区民らでつくる「ヘリ基地建設に反対する辺野古区民の会」でも話を聞いた。「集まった住民の方々から昔の運動会の話などを聞いた。辺野古について基地以外のことを知らなかったことに気付き、衝撃を受けた。そこに生活があることに考えが至らなかった自分の浅はかさを恥じた」と明かす。

 休学して辺野古に滞在し運動会、ハーレーなどイベントや豆腐作り、漁業、模合、夕食など普段の生活を撮影し続けた。撮影時間は計200時間以上に上る。試作として編集した映像を2月に辺野古の公民館で上映し、住民らからも好評を得た。12月までには卒業論文としてまとめ、将来的にはドキュメンタリー映画の製作を目指す。

 八島さんは「基地に賛成、反対の以前に、ここで生まれ、生活している人たちがいる。『基地もあるけど、辺野古は辺野古だよ』とも言われた。自分の中で(辺野古に来る前に抱いていたイメージと実際の)隙間を埋めていきたい。辺野古に1年いられたのは大きい」と今後も継続して辺野古を記録する考えだ。