「はいたいコラム」 仲良くすればもっと売れる


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 韓国グルメの旅に行ってきました。ソウルから車でおよそ1時間、世界遺産の城壁「水原華城(スウォンファソン)」で知られる京畿道水原市は、かつて大きな牛市場があったことから、カルビの聖地でもあります。水原カルビを求めて地元の人気店へ。長~い骨付きカルビが炭火で焼かれ、店の人がハサミで手早くカットしてくれます。在来種・韓牛(ハヌ)という脂ののったカルビをサンチュやエゴマに包んでいただくと、口の中は感激の大興奮~。250グラムで5万3千ウォン(5300円)のカルビに、キムチ、ナムル、サラダなど12種類の野菜の小皿が並び、肉と野菜のバランスも絶妙でした。

 さて、同行した友達とそろそろビールからマッコリに切り替えようと注文しかけると、なんと! ガイドさんは「カルビにはビールです。マッコリは合いませんけど、まあ今日は特別に」とおっしゃったのでびっくり! 聞くと韓国は「薬食同源」の考えから食べ合わせを尊重し、マッコリを飲むのはチヂミを食べるときと決まっているそう。他にも参鶏湯(サムゲタン)には高麗人参(コウライニンジン)、味付き豚足には千切りキャベツなど、肉と野菜の組み合わせにも法則がありました。

 韓国の野菜消費量は世界トップクラスで日本人のおよそ2倍です。確かに肉だけ食べるより野菜と合わせた方が消化もよく食が進みます。焼き肉の国は、野菜の国でもあったのです。肉と野菜のマリアージュ、両方あるから、両方おいしい。互いの存在が互いを活(い)かす、異なる食材が仲良くすることで生まれるハーモニーにわたしは感動しました。これってまさに、ビジネスにおける異業種コラボではありませんか。

 自社の商品を売りたいとき、自社製品だけでなく、相性のよい異業種商品とコラボすれば、お客さんも買いやすくなります。他社とも仲良くした方が、イノベーションが生まれ、結果的に市場が開拓できます。これからは異文化が仲良く手を取り合う多様性の時代です。フーチバーだけを売ろうとせずに、山羊(やぎ)汁のお店と仲良くし、その店が繁盛する方法を考えることが、いわゆる三方よしにつながるのです。うちの商品はどこの何と仲良くすればハッピーか? 仲良きことは美しきかな。どんなものの命も、人と人が仲良くした結果、生まれたのですからね。
 (フリーアナウンサー・農業ジャーナリスト)
(第1、3日曜掲載)

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 小谷あゆみ(こたに・あゆみ) 農業ジャーナリスト、フリーアナウンサー。兵庫県生まれ。介護・福祉、食、農業をテーマにした番組司会、講演などで活躍中。野菜を作る「ベジアナ」として、農ある暮らしの豊かさを提唱、全国の農村を回る。