6月上旬、那覇市観光協会の「那覇まちま~い」ツアーに参加し、国際通り周辺の「マチグヮー」こと中心商店街を散策した。昭和の時代を色濃く刻む建物やアーケード、路地が入り組む一帯は迷宮のよう。中心商店街は1950年に建設された第一牧志公設市場を中心にしたエリアを指す。
衣料品店が軒を連なるむつみ橋通り。ビル壁面にへばりつく昆虫のレプリカが目を引く。カンムリワシ、ヤンバルクイナ。電飾の上にヨナグニサンが羽を広げる場所も。季節感はおかまいなしで、思わず頬が緩む。
■映画のセット?
市場本通りと市場中央通りに並行して連なるのが「水上店舗」。下を流れるガーブ川にふたをするように建設された。かつてガーブ川は大雨のたびに氾濫し、商店街は甚大な被害を被った。1960年代前半の大改修工事に伴って、ガーブ川は排水溝になり「水上店舗」が造られた。通常コースにないが、この日は店舗の2階を見学。緩やかに曲がった廊下に、木製の窓枠を配した小さな店が連なり、映画のセットのよう。雑貨店、占いの店が入居。「店主は若いアーティストが多い」とガイドの石井周(めぐる)さん。アクセサリー店を開店予定のむらやままゆみさんは「時が止まったような昭和っぽい雰囲気が気に入った」とほほ笑む。
■昭和の風景
えびす通りは木製のアーケードが昭和の記憶を刻む。大型傘が涼を演出するパラソル通り。化粧品店の前にはビニール製ののれんがゆらめき、向こうで千円のエステを受ける女性の姿も。「ちとせ商店街」は店舗上に四つのアパート群がある。ヨーロッパの天窓のような円形の明かり取りがあり、造形の美しさに息をのむ。最近、昼間から開いている居酒屋が増え、活気づいている。休日、「ちょい飲み」を楽しむ県民も多いという。
ほどほどの緩さ加減が心地いい。日々追われる生活から解放されたい時、小旅行で訪れたいのがマチグヮーだ。
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県内各地で昔ながらの街並みや自然豊かな集落などを訪ね歩く「まちまーい」が盛んだ。ガイドツアーも年々増加。ひと味違う風景を探しに、車を置いて街に繰り出してみよう。
文・高江洲洋子
写真・諸見里真利