県民大会“政治利用”やめて 与野党駆け引き 女性ら懸念の声


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 19日の米軍属女性暴行殺人事件に抗議する県民大会は、超党派による参加が困難な見通しだ。大会の決議文を巡り、与野党が非難し合う現状に、「被害者を追悼したいのに、今の状況はいたたまれない」などの落胆の声が上がる。「政治的に利用されるのでは」と参加をためらう声も。「子どもが安心して暮らせる社会の実現を目指し、大人がまとまってほしい」という声も上がった。

 「被害者は事件のことを忘れたいのに、事件が起きるたびに社会が思い起こさせる状況がある。これ以上過去の被害を掘り起こさせないために、基地の撤去を訴えたい」。ワンストップ支援センターの設立を強く望む会so♡の事務局を担当する上野さやかさんは、被害を政治利用せず、被害者を追悼する大会になるよう期待する。

 佐喜眞美術館館長の佐喜眞道夫さん(70)は「被害者や遺族に寄り添うべきだと普通の人々は分かっていると思うが、政治をリードする人々が理屈で考え、硬直化してしまっている。政治が人々の気持ちから離れてしまっているのは不幸なことだ」と話した。

 性教育などに取り組む「いのちの根っこを育てる会」の副代表・棚原喜美枝さん(49)も「とても残念だ」ともらす。「政治的立場に関係なく一個人として、被害者の無念を考えてほしい。子どもたちが安心して暮らせるような社会を目指して、大人がまとまってほしい」と願った。