入所者しのぶ らい予防法被害者追悼


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
献花し、入所者をしのぶ「追悼の日」イベントの参加者=22日、名護市の沖縄愛楽園交流会館

 【名護】沖縄愛楽園自治会(金城雅春会長)は22日、名護市の同園交流会館で「らい予防法による被害者の名誉回復と追悼の日」イベントを開いた。入所者や地域住民、関係者ら約60人が出席し、証言の朗読や歌や演奏を通して、亡くなった入所者をしのんだ。「追悼の日」イベントを沖縄愛楽園で開催するのは初めて。今後、毎年開催する意向。

 沖縄愛楽園自治会は、被害を受け亡くなった一人一人の人生や思いを振り返りながら、追悼をする場を設けようと企画。昨年6月に開館した交流会館を活用し、地域住民、関係者らにも参加を呼び掛けて開催した。

 2001年6月22日にハンセン病に罹患(りかん)した患者への補償や名誉回復を盛り込んだ法律が制定されたことから同日の開催となった。

 イベントでは退所者で語り部の平良仁雄さん(77)が「沖縄愛楽園にはらい予防法で閉じ込められた多くの人々の血と汗が込められている。社会に出ても口を閉じ、語ることのできない人は今でも多いが、ハンセン病やらい予防法、愛楽園のことを多くの人に知ってもらいたい」と話した。

 さらに亡くなった方々の追悼の意味を込め、沖縄戦の体験談も含めた入所者6人の証言や詩が朗読された。参加者は時々、鼻をすすったり、ハンカチで目頭を押さえたりしながら入所者の送った苦難の人生に思いをはせていた。合間にはギターやジャズ、琉球古典音楽の演奏も行われた。最後は僧侶が読経する中、参加者が納骨堂の方向に向かって献花した。