米軍、沖縄県の埋蔵文化財調査認めず 普天間、環境協定が理由


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦

 沖縄県教育委員会と宜野湾市教育委員会が米軍普天間飛行場内で実施している埋蔵文化財の発掘調査で、県教委が2015年度に申請した3カ所の調査について、在沖縄米海兵隊が昨年11月に「環境補足協定に基づいて申請してほしい」と通知し立ち入り調査を許可していないことが27日までに分かった。一方、市教委は沖縄防衛局の依頼を受けて市道11号整備に伴う米軍巡回路の移設に向けた基地内の文化財調査を進めており、米軍の対応が分かれている。米軍の裁量次第で調査の可否が決まることが、浮き彫りになった。

 環境補足協定は、米軍基地返還前から日本側の環境調査や文化財調査を認めるとしている。日本側の環境調査権限を強化する名目で、2015年9月に日米両政府が締結した。

 今回許可されなかった理由について、県教育委員会は環境補足協定にある「返還日の約7カ月前を超えない範囲で実施できる」とする部分にあるとみている。このままでは、普天間飛行場の返還まで少なくても7~8年間、調査ができなくなる恐れがあるとし、国に立ち入り調査の許可を求める方針だ。

 15年度は同飛行場滑走路北側にある喜友名前原第五遺跡、喜友名前原第三遺跡、喜友名東原第三遺跡3カ所の立ち入り調査を在沖米海兵隊に申請していた。

 昨年11月まで調査の可否について回答がなかったため、県教委が在沖米海兵隊に問い合わせたところ、今後は環境補足協定を適用する旨の通知があったという。

 在沖米海兵隊は27日、琉球新報の取材に対し「現在、情報を確認中だ。できる限り早く回答する」としている。

 一方、宜野湾市の市道11号は、日米両政府が17年中に返還すると発表した普天間飛行場東側(約4ヘクタール)を通る予定だ。

 沖縄防衛局は返還対象地から米軍の巡回路やフェンスを移設する作業を進めている。市教委は防衛局の依頼を受けて文化財調査を続けている。

 県教育委員会の調査は、文化財調査が目的の文化庁の予算による調査で、市道11号整備関連事業は防衛予算で進められている。

英文へ→U.S. military rejects survey of buried cultural artifacts, cites supplementary agreement