米軍、北谷町にも不許可 キャンプ瑞慶覧の文化財視察


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 【北谷】県教育委員会が米軍普天間飛行場内にある文化財の立ち入り調査を米軍に求めたところ、米軍側が環境補足協定に基づき申請を許可していない問題で、北谷町教育委員会も協定を理由にキャンプ瑞慶覧内の文化財視察の許可を得られていないことが28日までに分かった。日米両政府が「歴史的な意義」として締結をアピールしていた同協定が、文化財の調査や視察を阻む“足かせ”となっている現状が、あらためて浮き彫りになった。

 町教委は2015年11月、米軍キャンプ瑞慶覧施設技術部地区内にある文化財「北谷城(ぐすく)」の視察を、沖縄防衛局を通して米軍側に依頼した。米軍側の回答として、防衛局から口頭で環境補足協定に基づき視察は許可できない旨の説明を受けたという。その後も町教委は、防衛局を通し米軍へ視察で立ち入りたい旨を伝えているが、現在まで許可されていない。

 町教委は「北谷城は国史跡指定、城跡公園として保存、活用を目指している。返還予定の19年度が近づいており、早期の視察が必要だ。他市町村とも情報交換をしながら対応したい」とした。

 町教委は1983年度から2001年度まで計16回、北谷城を調査し、12世紀以前と考えられる柱跡を発見。貴重な文化財であることを確認している。土地返還後は、新たな町のシンボルとして観光資源や郷土学習の教材として整備を検討している。

 一方、県教委は米軍普天間飛行場内での文化財調査について、協定に基づき、立ち入りに必要な日米間の合意を取り付けるよう、日本政府の関係機関を通して求める方針だ。

 米軍側は県の立ち入り調査について、協定に基づき、返還期日の約7カ月前から調査を開始するか、または日米両国の同意を取り付ければ申請を認めるという趣旨の説明を口頭で県の担当者に説明していた。

 在沖米海兵隊は28日、琉球新報の取材に「在日米軍(東京)と日本政府に確認してほしい」と回答した。(藤村謙吾、塚崎昇平)