TPP影響200億円 畜産分野厳しく JA沖縄中央会試算


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 JA沖縄中央会の砂川博紀会長は28日、環太平洋連携協定(TPP)が発効した場合の県内農業への影響について「悲観的に見て、畜産分野を中心に約200億円に上る」との内部試算を明らかにした。2015年10月のTPP大筋合意の内容を踏まえ、県内への影響の推計が示されるのは初めて。砂川氏は国に対し、持続可能な農業生産に向けた施策を求めていく考えを示した。琉球新報のインタビューで明らかにした。

 砂川氏はサトウキビへの影響が少ないとする一方、畜産分野は「7割で関税が撤廃される中身になっていると聞く。牛や豚の生産は縮小する可能性が高い」と強い懸念を示した。200億円の詳細には言及しなかった。

 牛肉は現行38・5%の関税が段階的に削減され、16年目以降は9%になる。豚肉・豚くず肉は、従価税が4・3%の関税を初年度に2・2%へ下げ、10年目に撤廃する。安価な輸入肉の流入に連動し、国内の牛肉や豚肉価格の下落が想定されている。肥育素牛は1頭6万3750円の関税が16年目以降は撤廃される。牛肉の販売価格低下もあって肥育農家の購買力低下が予想され、高値が続く素牛価格は今後、下落圧力が高まることが懸念される。