沖縄の公立保育所 岐路に 進む民営化、問われる「公」の役割


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元気よく遊ぶ久場川保育所の子どもたち=6月28日、那覇市の久場川保育所

 全国的な行財政改革で2000年ごろから全県的に公立保育所の民営化が進められているが、保育所がある県内34市町村のうちすべての保育園を民営化した地域はない。一方、一部自治体で最後の公立を民営化する動きが出始め、公立保育所の存続は岐路に立っている。公立保育所を存続させている自治体は「子育て支援の拠点」として位置付け役割を明確化している。関係者からは公立保育所の重要性が指摘されている。

 那覇市や沖縄市は公立の数は減らしたが、その役割を明確に打ち出す。公立1カ所を残す与那原町も同様だ。町民らと議論を重ねて策定した公立保育所の統合及び民営化計画(12年)などを基に地域のモデルや子育て支援の拠点と位置付ける。さらに公立の元所長が認可外を含む保育園や子育て支援センターなど地域を回り、保育所に通わない親子を含めた町全体の状況を把握している。

 「課題を抽出し施策に反映させるため、現場は必要だ。自治体はどんな児童福祉を目指すのか議論し方針と計画を持つべきだ」と子育て支援課の伊集京美課長は強調する。

 公の役割を重視する声は民間からも出ている。県私立保育園連盟の会長を長く務めた玉城善徳さん(沖縄市・室川保育園園長)は行財政改革の中で「介護など社会保障の市場化が進められた。保育もその流れの中で見なければ」と指摘し公の役割放棄を懸念する。「公立を維持し、次世代育成として保育を大切にする視点を持ち続けて」と望んだ。(黒田華)