琉球王国の鐘か 米国から72年ぶり「帰沖」へ


この記事を書いた人 新里 哲
米フロリダ州で見つかった戦後に渡米した梵鐘(喜舎場静夫さん提供)

 沖縄戦後に米国に持ち去られた琉球王国時代のものとみられる梵鐘(ぼんしょう)(釣り鐘)が2017年4月に72年ぶりに「帰沖」する予定であることが2日、分かった。琉米歴史研究会の喜舎場静夫理事長が戦後に米国に渡った沖縄の資料返還活動をしていることを取材したフジテレビの番組収録をきっかけに返還が決まった。梵鐘は沖縄戦に参戦した米海兵隊ロイ・ガイガー少将が持ち帰り、孫娘のメラニー・リーさん(68)=フロリダ州在住=が所持していた。

 琉球大学の豊見山和行教授(歴史学)によると、梵鐘の写真から、県教育委員会が2008年にまとめた「沖縄の金工品関係資料調査報告書」に収録されている国頭村安波区公民館所蔵の梵鐘に類似しているという。安波の梵鐘は17~18世紀に琉球で制作されたとみられている。

 一般的に鐘には文章が刻まれているが、見つかった梵鐘には刻まれていない。豊見山教授は「手掛かりは少ないが、実物が沖縄に運ばれることで研究が進むだろう」と期待した。

 返還のきっかけとなった番組は3日午後7時から沖縄テレビで放送される。