具志堅用高会長も絶賛!「昭和のボクシング」 10連続KO 新王者の比嘉


この記事を書いた人 新里 哲
OPBF東洋太平洋フライ級王者決定戦で勝利し、具志堅用高会長(左)と喜ぶ比嘉大吾=2日、後楽園ホール

 【東京】ボクシングのOPBF東洋太平洋フライ級王座決定戦が2日、後楽園ホールであり、浦添市出身で前WBC世界ユースフライ級王者の比嘉大吾(20)(宮古工高出身、白井・具志堅スポーツ)が東洋太平洋同級王者アーデン・ディアレ(27)(フィリピン)に4回2分39秒KOで勝ち、チャンピオンベルトを手にした。

 比嘉はプロデビューした2014年6月以来、10戦10勝(10KO)となった。比嘉は左ボディーからの連打で2回終了間際に最初のダウンを奪い、試合序盤からペースを握った。3回には左右のフックから2度目のダウン、4回には左ボディーからの連打でディアレが膝をつき、テンカウントが数えられ、KO勝ちした。

OPBF東洋太平洋フライ級王者決定戦でアーデン・ディアレを攻める比嘉大吾(右)=2日、後楽園ホール(池田哲平撮影)

◆コンビネーションさえ圧倒
 東洋太平洋フライ級王座決定戦で挑戦者としてリングに上がった比嘉大吾にとって、王者のアーデン・ディアレは因縁の相手でもあった。2014年6月、ディアレは比嘉のジムの先輩で県出身の江藤光喜と壮絶な打ち合いを演じた。結果は江藤のKO勝ちだったが、江藤から2度のダウンを奪うなど実力のある相手であることは身をもって知っていた。比嘉は「試合前は怖くて眠れなかった」という。だが、試合が始まると比嘉が「練習の成果が出た」と語るように、この日のための練習が奏功する。強烈な左ボディー、左アッパー、右のコンビネーションで何度もディアレをリング際に追い詰めた。

 2回の最初のダウンも左ボディーからの連打だった。ディアレがうずくまる中、勝ちを確信した比嘉はリングサイドで喜びを爆発させたが、その間にディアレが起き上がり、回終了のゴングが鳴った。比嘉は試合終了後、「勘違いした。これで負けたら恥ずかしいと思い、気持ちを切り替えた」と振り返る。3回以降は時折、ディアレのボディーや右フックをもらったものの、比嘉のコンビネーションが終始さえ、圧倒した。

 比嘉の試合をリングサイドで見届けた、ジムの具志堅用高会長は「僕らが現役でやっていた昭和40年代のお客さんが喜ぶボクシングをやっている」と比嘉の成長に目尻を下げ「今年中に世界戦をやらせたい」と語った。試合後の比嘉はリング上で男泣き。「最高。うれしい。そういう言葉しか出ない」と語ったが、「次に向けて練習したい」と視線は次に向けていた。(池田哲平)