小禄、土壇場の粘り 16強出そろう 夏の甲子園県大会第7日


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小禄―南部工 延長13回小禄1死満塁、上地浩夢の犠飛で逆転のホームを踏んで歓喜する崎原大輝(右)=3日、沖縄セルラースタジアム那覇(具志堅千恵子撮影)

 第98回全国高校野球選手権沖縄大会第7日は3日、沖縄セルラースタジアム那覇などで2回戦の残り8試合を行い、ベスト16が出そろった。小禄は延長十三回の末に6―5で南部工に勝利した。昭薬付は8―3で美里を突き放し、那覇商は4―1で名護商工を破った。沖縄尚学は6―0で浦添に完勝し、美里工は12―6で未来沖縄との熱戦を制した。宜野座は2―1で北山に競り勝った。豊見城は11―2で那覇工に、浦添商は10―0で北谷にコールド勝ちした。大会第8日の9日は3回戦8試合が行われる。

◆3点差追い付き死闘制す
 薄氷の上を泥臭く勇敢に。スターがいなくてもつなげばいい。小禄の全員野球が延長十三回を制した。劣勢が続く中、終盤の七回にやっと1点差に迫ったが、八回裏に南部工に2点を挙げられ、2―5と離される。

 「万事休す」(野原潤一監督)と思われた九回、代打と不振のクリーンアップが奮起し、同点に追い付いた。このあと延長に入ると不調のエース前武當一斗が最後まで南部工打線を抑え、攻撃では上地浩夢の犠飛で1点をもぎ取った。

 一回、2年で先発の上原悠司がつかまり3失点を喫した後も「1点で必ず変わる」と声を掛け合う。そして「代打が流れを変えた」(銘苅梨氣主将)。七回先頭に銘苅、九回先頭に小波津隼太が代打で立ち、いずれも安打で打線を刺激した。2球目を左前に運んで九回同点の口火を切った伊江島出身の小波津は「点を取らないと始まらない回。自分が出れば続いてくれる」と信じた。

 一進一退の延長は十三回を迎え、好機で打ちあぐねて責任を感じていた6番の捕手・上地が一死満塁で初球を捉えた。「調子が悪いなどと考えず、いつも通り思い切り振った」。その勝ち越し犠飛は悠々と左方向に運ばれて、ベンチもスタンドも沸きに沸いた。

 野原監督は「子どもたちが(勝利を)作ってくれた」と目を潤ませ、得意の粘っこい野球で次戦に挑む。(石井恭子)