「飲酒運転なくせる」 赤い「さんぐゎー」活動じわり


社会
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「赤いさんぐゎーリボン」を考案した真栄田絵麻さん(前列中央)と関係者ら=6月16日、宜野座村のホテル

 【宜野座】飲酒運転根絶を訴えるシンボルマーク「赤いさんぐゎーリボン」。25年前から飲酒運転防止の啓発活動をしてきた真栄田絵麻さん(63)が考案し、地道に広めてきた。活動に共感した人々が集まり、赤いさんぐゎーのピンバッジや、ストラップ「ゆるさんぐゎー」、テーマソング「赤いさんぐゎーリボン」など、関連する動きが出てきている。

 6年前に飲酒運転に関する会を設立した際に「赤いさんぐゎーリボン」が作られた。ススキやわらを独特な形に結ぶ「さんぐゎー」は昔から沖縄で魔よけなどに使われてきた。「赤」は信号の赤信号「ストップ」からきている。真栄田さんは12歳の時、飲酒運転の車による事故で母親を失った。「いまだに加害者を許すことができない」と話す。5年前に加害者と会う機会があったが、相手は離婚し、アルコール中毒になっていた。「飲酒運転の事故は被害者だけでなく、加害者やその家族も崩壊させる」と語る。

「赤いさんぐゎーリボン」をベースにしたピンバッジ(左)と革のストラップ

 「赤いさんぐゎーリボン」をベースに作られた革のストラップを制作しているのは、オールハンドメイド革工房「WING ROUTE’S(ウイング ルーツ)」を経営する夫婦、島袋格(いたる)さん(37)とはるなさん(39)。共通の友人を飲酒運転に関連する事故で亡くした。その翌年の2014年からストラップを制作し、飲酒運転撲滅の意識付けに努めている。格さんは「飲酒運転は当事者だけでなく、周りの人間にも深い悲しみを与える」と声を沈ませる。

 飲酒運転撲滅の草の根運動は県内に着実な広がりを見せている。

 15年から中部地区の商工会女性部の有志4人が中心となって活動している「草の根・赤いさんぐゎーリボン広め隊」(當山みゆき会長)は飲酒運転に関する寸劇を披露している。そのパフォーマンスは笑いあり、涙ありで、多くの人を引き付ける。當山さんは「飲酒運転の意識の低い人にどのように知ってもらうかが大切」と話す。

 15年12月に那覇署は真栄田さんが考案した「赤いさんぐゎーリボン」をピンバッジにした。「STOP!飲酒運転」と記されたそのバッジは那覇署の飲酒運転防止の啓発のために使われている。

 このごろ、歌「赤いさんぐゎーリボン」ができた。作詞を担当した歌手、natchy(なっちぃ)さんは依頼を受けた3月に、さんぐゎーの意味を調べることから出発した。「さんぐゎーは人に渡すお守り。多くの人に真栄田さんの思いが届くようにした」と思いを語る。

 真栄田さんは「一人一人ができることをやれば、現状を変えることができる。『酒を飲んだら運転しないで』と家庭から語り掛けることも大切」と強調した。