在宅死割合、沖縄でも地域格差 訪問診療の態勢で開き


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦

 病院ではなく、自宅で最期を迎えられるよう国が「在宅みとり」を推進する中、自宅で亡くなる人の割合に大きな地域差があることが6日、厚生労働省が公表した全市町村別の集計で分かった。沖縄県内では市部ほど自宅で亡くなる人の割合が高く、町村部で低い傾向が出た。訪問診療を手掛ける医療機関の充実と、在宅死の割合との関連性が浮き彫りになった。

 調査は2014年の人口動態統計を基に、データを集計した。

 自宅で亡くなる人の割合を市部で見ると、南城市(8・1%)以外の10市はいずれも10%以上あった。那覇市(15・2%)、浦添市(15・4%)、石垣市(17・6%)、宮古島市(18・1%)など。町村部は久米島町(2・7%)、大宜味村(5・5%)、伊平屋村(5・9%)、座間味村(6・3%)など、割合の低い自治体が多かった。

 県内で最も割合が低かったのは渡名喜村(0%)で、高かったのは北大東村(40%)だった。人口が少ない地域は、その年に自宅で亡くなった人が多いといった事情で数値が変動するため、渡嘉敷村と粟国村(各20%)も割合が高かった。

 県保健医療政策課は「特に離島は医療機関が少なく具合が悪くなると、本島に移り住み、地域に戻ることが難しいことが、(在宅死が少ない)一つの要因ではないか」と話した。

 伊平屋村は、村内に訪問介護を手掛ける事業所がなく、通所で利用する「デイサービス」も1カ所で、在宅生活や介護予防が難しい事情を説明。1人暮らしの難しい高齢者が共同で暮らす支援ハウスは定員いっぱいで、担当者は「医療が必要になったら村外に出るしかない」と話した。

 沖縄を含め全国的に病院で亡くなる人が圧倒的に多く「住み慣れた地域で逝きたい」という多くの国民の希望をかなえるには不十分な現状もにじみ出た。