琉大、小中校への教員派遣事業が好評 理論と実践融合


社会
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琉球大の学生も参加して行われた赤嶺美奈子教諭の英語の授業=5月、宜野湾市の真志喜中学校

 小中学校など教育機関からの要望に応えて大学教員を派遣する、琉球大学教育学部附属教育実践総合センターの「アドバイザリースタッフ派遣事業」が好評だ。大学教員が学校現場に出向いて校内研修の講師や授業作りの相談などを受ける。学校側は「最新の知見など専門的に学べる貴重な機会」とし、大学側は「現在の教育現場を見せてもらえるのは現場に即した教員養成に非常に有益」と双方ともに評価は高く、大学の理論と現場の実践を互いに学び合う場となっている。

 事業は大学の専門知識を地域で活用してもらおうと6年ほど前に開始し、2015年度の派遣回数は284回に上る。協力できる大学教員を募ってリストを作って公開し、ニーズに応じて講義の合間の時間に対応する。本年度は教育学部の教員78人が登録している。学校側の負担は交通費のみで、本島北部、離島にも派遣している。

 同様の事業は九州の他大学でも行われているが、回数は多くて40回程度と言い、センター長の大城賢教授は「質・量ともに他を圧倒している」と胸を張る。

 真志喜中学校(宜野湾市)英語科の赤嶺美奈子教諭は数年前から同事業を活用して大城教授に知恵を借り、習熟度がばらつく生徒みんなが楽しく積極的に取り組める授業作りに取り組んだ。今では赤嶺教諭が大学に出向き、現場の授業や教材について学生に講義するほか、赤嶺教諭の公開授業に大城教授が学生を連れて参加するなど、双方向の交流が活発化している。

 赤嶺教諭は「文科省の方針も社会も変わる。授業を見てもらいながら、現場では見えにくい専門的なアドバイスをもらえるのはとても助かる」と意義を語る。

 大城教授の学生で5月、真志喜中での赤嶺教諭の授業に参加した森田智子さん(21)=3年生=は「とても楽しかったし、実際の授業を見られてよかった。教育実習に生かしたい」と目を輝かせた。大城教授も「大学で話した理論の実践を見せてくれる。いろんな生徒がいる現場を見せてもらい、自分も学べるし、学生のやる気も上がる」と喜んだ。