台風1号 海水温高く急速に発達 上空気流の弱さも要因


この記事を書いた人 新里 哲

 中心気圧900ヘクトパスカルの猛烈な勢力に発達した台風1号。沖縄気象台によると、5日正午は中心気圧970ヘクトパスカルだった台風が、6日正午にはフィリピンの東で900ヘクトパスカルに気圧が下がった。24時間あたりに気圧が30ヘクトパスカル下がる現象を「急発達」というが、台風1号は24時間で気圧が70ヘクトパスカル下がった点が特徴だ。

 琉球大学理学部の山田広幸准教授(気象学)は「海水温が高く台風のエネルギー源となる水蒸気が多く発生した。上部で強い風が吹いておらず、台風の発達を阻む気流も弱かった」と分析する。

 山田准教授によると、ことし6月に梅雨が明けて台風1号が発生するまでの間、好天が続き水深約100メートルの深い所まで太陽の熱が蓄積された。暖められた海の表層から水蒸気が供給され、台風の雲が発達したと説明。また上空5~15キロの対流圏で吹く気流も弱く、台風を弱める阻害要因がなかったことも急速な発達につながったとした。

 2013年11月にフィリピン中部で甚大な被害を出した台風30号(ハイエン)は、24時間で中心気圧が60ヘクトパスカル下がった。山田准教授は「今回の台風1号はハイエンを上回る急発達を見せた。極めてまれだ」と話した。