ピンクの輪 日本変える 同性カップルに祝福の涙


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多くの人が集まったピンクドット沖縄2016=17日、那覇市のテンブス館前広場

 「沖縄から(日本の)時代を変える第一歩に」。那覇市のテンブス館前広場で開かれた「ピンクドット沖縄2016」の人前結婚式では、男性同士のカップル、入眞地順治さん(39)と安座間尚彦さん(30)が互いの手を堅く握り、会場あふれる来場者からの祝福に応えた。感極まる表情の2人に、涙を拭う来場者も。偏見に苦しんできた当事者は、2人の門出が風穴を開けると期待を寄せた。入眞地さんと安座間さんは、この晴れの日が誰もが生きやすい社会づくりへの節目になると語った。

 入眞地さんは挙式後、「市長から(パートナーシップの)証明書を受け取り、結婚を実感した」、安座間さんは「自分たちのような生き方を発信していきたい」と喜びを口にした。

 「ピンクドット沖縄」はことし4回目。JAL・JTAを含む過去最多の20社が協賛。LGBT向けサービスの情報提供のほか、行政手続きに関する相談窓口を設けた。

 「パートナーシップ制度を他市町村も取り入れてほしい」。来場した30代男性は、制度の広がりに期待を寄せる。心は女性で体は男性として生まれた。生きづらさを抱えてきたが最近、自身の性を公表できるようになった。ピンクドットがLGBTへの理解を広げているとし「ずっと続いてほしい」と願った。同性パートナーがいる秋吉美歩さん(40)=八重瀬町=は那覇市の同制度を評価した上で「異性カップルに比べて、納税で不利をこうむっている。遺産も引き継げない。国の制度改正をしてもらえたら」と課題を指摘した。子どもを連れた仲宗根恵美さん(39)=那覇市=は「固定観念を持たず、さまざまな人と仲良くできる大人に育ってほしい」と話した。

◇私たちにできることは?◇

 性的マイノリティーが生きやすい社会を目指すピンクドット沖縄の会場で尋ねてみた。「誰もが自分らしく生きる社会をつくるために、あなたができること、したいことは何ですか?」

 うるま市から訪れた呉屋升文(ゆきや)さん(24)と大城智彦さん(33)のカップルは、質問の答えを「オープンに自分らしく生きていく」と記し、「沖縄全域、日本全体にパートナーシップ制度が広がってほしい」と語った。星山優美さん(30)=兵庫県=は、体は男性として生まれたが女性として生きる「MTF」で、同性婚の法制化を求めて日弁連への人権救済申し立てをしている一人だ。LGBTの権利を訴えようと制作中の映画を完成させたいと決意を書いた。

 娘の芙優子さん(7)を連れて来場した今理織(こん・みちおり)さん(40)=那覇市=は「娘は成長する中でいろいろな人を好きになっていくと思うが、『社会の決まりがこうだから』と枠にとらわれてほしくない。『自分が好きになった人を好きでいていいんだよ』と伝えたい」と話した。4年連続でステージに立った歌手の比屋定篤子さん(44)は4人の子を育てる母親でもあり、幼いころからLGBTの存在を身近に感じる大切さをメッセージに込めた。

 (紙面に掲載できなかった方々のメッセージは後日、Webマガジン『新報Style』で紹介します)