沖縄・高江の検問 「生活影響」「説明を」 警察に抗議、もみ合い


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一般車両は検問し、米軍車両は身分確認をせずに通行させることに抗議して座り込む市民らを排除する機動隊=19日正午ごろ、東村高江

 【東・国頭】米軍北部訓練場へ向かう経路となる県道70号の東村の宮城と高江の計2カ所で、福岡県警や沖縄県警などが19日に実施した検問を受けた人たちからは「やり過ぎ」「住民の生活に影響が出る」など、突然の対応を批判する声が上がった。高江の新川ダム付近での検問では、市民らと機動隊がもみ合いとなり、現場は一時騒然となった。

 名護市辺野古から東村高江の座り込み現場に向かった市民ら4人を乗せた車両は同日、同村宮城と同村高江の新川ダム付近で検問に呼び止められ、免許証の提示を求められた。運転手らは「理由を説明して」と迫ったが、警察官から説明がなく、2カ所とも20~30分の問答の末、免許証を見せないまま通過したという。

 計約50分足止めされた車両に乗っていた島袋文子さん(87)=市辺野古=は「理由を聞いたら『この先で工事をしていて、車の通りが多くて危ない』と言った。そんな理由なら、那覇ではあちこちで検問をやらなければいけなくなる」とあきれた様子で話した。

 東村高江に住む農業の男性(63)は「この地域に長年住んでいて(検問は)初めて。よその地域から来てこういうことをするのは腹が立つ」と怒りを抑えられない様子だった。

 ある福岡県警の機動隊は検問の理由を工事だとし、市民から「何の工事か」と激しく詰め寄られると、機動隊員は「聞かされてません」と答えに窮する場面もあった。

 警察は米軍車両は検問しなかったため、市民らは「やるなら米軍も検問を」「福岡から沖縄まで来て米軍を守るのか」と強く抗議し、米軍車両の前に座り込んだ。機動隊は座り込んだ市民らを排除し1カ所へ囲い込んだ上で米軍車両2台をそのまま通した。

 沖縄平和運動センターの山城博治議長は、検問について「国民世論が沸騰する前に一気にやってしまおうという姿勢が見える」と批判した。

◆検問の基準曖昧

 東村宮城と高江で19日に実施された検問では、理由や検問方法について基準の曖昧さが目立った。

 現場では、検問理由の説明が警察官によって食い違い、混乱も生じた。取材に向かう途中の琉球新報の記者に対しては「この先で工事をしていて車の出入りが多い」「路上駐車が多く道路が危険になっている」などと説明したが、免許証を提示する理由についてははっきりと言わなかった。「(免許証の期限が)切れているかもしれないので」という説明もあった。市民に「何の工事だ」と問われた機動隊員が「聞かされていません」と答える場面もあった。

◆「道交法など根拠」/県警、検問理由で

 県警は検問理由について取材に対し「交通安全および秩序の維持などを目的に警察法、警察官職務執行法、道路交通法などを根拠に実施している」と回答した。