首都圏の介護施設で働きながら大学へ ミライ塾が進学支援 介護現場の人材不足解消にも


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困窮して進学が困難な学生を福祉施設へ迎え入れ、就学を応援する「ミライ塾」を立ち上げた奥平幹也さん(右)と、県内で塾をサポートする兼島徹さん=琉球新報社

 経済的な理由で進学が難しい学生を首都圏の高齢者福祉施設で受け入れ、働きながらの進学を支援する自立支援プログラム「ミライ塾」を県出身者が立ち上げ、次年度の入学に向けて、利用を呼び掛けている。企画したのは、学生の進学支援に取り組む介護コネクション=東京都=の奥平幹也代表(42)。学生は基本的に福祉施設からの貸付金と既存の奨学金を併用して学費を支払い、介護士として施設で働く。給与を生活費と借りた学費の返済に充てる。介護現場の人材不足にも対応する新たな就職進学の仕組みだ。

 ミライ塾は、同コネクションとエス・エム・エス(同都区)が運営する。就労を継続し、在学中に奨学金の返済分が貯金できれば、卒業時に借りた学費の全額返済が可能になる。奥平さんは、新聞奨学生として早稲田大学を卒業した経験を持つ。「介護の経験を通して、コミュニケーション能力とチームで働く力が身に付く。社会人基礎力を付ける機会」と熱っぽく語る。超高齢化社会に向けて、多業種が高齢者を主要ターゲットにすると説明し「学生時代、介護に携わった経験は、社会人になっても役立つ」と力説した。

 ミライ塾は東京都や千葉県、神奈川県にある特別養護老人ホームや有料老人ホームなどを運営する6事業所と提携。学費の貸付額を含む支援内容は事業所によって異なる。現在、6人(うち県出身者1人)が「塾生」として、働きながら学んでいる。勤務時間は早朝か夜間中心か、宿直を伴う夜勤中心のシフトを提示。ミライ塾は、学生と定期的に連絡を取り、助言をしながら就労継続を後押ししている。

 塾生の一人、駒澤大学2年生の大城良太さん(21)は都内の特別養護老人ホームで、高齢者の身の回りのケアに当たっている。「1日の大半を車いすやベッドで過ごす高齢者の姿に衝撃を受けたが、人と人が支えられながら生きていることを実感した」と語る。「先輩が常にサポートしてくれるので、安心して働ける。経済的にも安定した」と、声を弾ませた。

 ミライ塾の問い合わせは、介護コネクション(電話)03(6721)2450。