人権・差別伝え 開館1年6599人来館 愛楽園交流会館


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ハンセン病の偏見の歴史を伝える沖縄愛楽園交流会館常設展=6月24日、名護市

 【名護】ハンセン病に関する誤った認識や強制隔離政策の歴史を伝える「沖縄愛楽園交流会館」が2015年6月に開館してから、1年で来館者は6599人に達した。名桜大など本島北部地域からの来館者や、県外の中学校・高校などの修学旅行生らが来館した。体系的に隔離政策の歴史を伝える常設展を充実させる一方、6回の企画展や2回のシンポジウムも開き、ハンセン病問題に限定せず幅広く「人権」「差別」などの問題について考える場を提供している。

 16日からは7回目の企画展となる今帰仁村出身の画家「譜久原邦子絵画展」が始まっており、8月14日まで行われる。

 沖縄愛楽園自治会の金城雅春会長は「人権、平和のテーマに沿った展示なら受けていこうと考えている。少しでも多くの人が足を運んで、歴史に触れてくれればと思う」と述べ、多角的な人権教育の場にしていく意義を語った。

 県外からも、人権について学ぶ場として利用が広がっている。8月に長崎県の高校生を引率して県内で平和学習を実施する予定の溝口奈々枝さん(32)=長崎市、会社員=は6月末、同会館を訪れた。溝口さんは「愛楽園は何度か訪れたことはあるが、交流会館は初めて。(入所者の)実際の証言を読むことができ、状況が分かる」と展示に見入り、生徒らの学習を見据えていた。

 同会館によると、開館前に園を訪れる人は年に1500人から2千人程度だったが、開館1年で来館者は6500人を超えた。

 同会館で学芸員を務める辻央(あきら)さんは足を運ぶ機会が広がっていることも踏まえ「北部地域には平和や人権を学ぶ施設は少ない。多くの人に来てもらいやすい企画を実施していきたい」と語った。

 問い合わせは沖縄愛楽園交流会館(電話)0980(52)8453。